裁判にかかる費用を相手方に請求することはできるのか

<ポイント>
◆弁護士費用は特定の事件でしか請求できない
◆訴訟費用は事件の種類を問わず請求できる
◆弁護士費用、訴訟費用の計算方法には決まりがある

依頼者の方から「裁判にかかる費用って勝訴しても相手方に請求できないんですか。」という質問を受けることがあります。この「裁判にかかる費用」は、弁護士の目線からすると、「弁護士費用」と「訴訟費用」に分けることができます。

弁護士費用はその名のとおり、依頼者が弁護士との契約に基づいて弁護士に対して支払う費用のことです。
この弁護士費用は原則として相手方に請求することができません。
例外は2つあり、1つは不法行為に基づく損害賠償請求をする場合です。不法行為というのは、固い言い方をすると、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為のことです。典型例としては、交通事故、不倫、犯罪等によって生じた損害の賠償を請求する場合がこれに該当します。もう1つは、労働災害において会社の安全配慮義務違反を主張して損害賠償請求をする場合です。
いずれの例でも判決まで裁判手続きが進んだ場合には、判決で認容された金額のうち約1割を弁護士費用相当額として相手方に請求することができます。判決まで進まずに和解で事件が終了した場合において、和解金額に弁護士費用を上乗せするか、上乗せするとしてどの程度上乗せするかは、事件によって様々です。

一方、訴訟費用は、弁護士費用とは異なり事件の種類に関わらず勝訴すれば相手方に請求することが可能です(弁護士費用と異なり和解において訴訟費用を請求できることはまずありません。)。
しかし、訴訟費用といっても、訴訟を追行するのに必要な全ての費用が訴訟費用に該当するわけではなく、特定の費用だけが訴訟費用に該当します。具体的には、訴状に貼り付ける印紙代、郵便代、交通費、裁判書面の作成手数料、出廷日当、鑑定費用等です。
また、これらの費用についても必ずしも実際に負担した費用の全額を請求することができるわけではなく、全額を請求することができるものと、ある特定の計算式によって計算した金額のみを請求できるものに分かれます。例えば、印紙代は全額を請求することができますが、出廷日当は出廷に要した日数1日につき3950円と定められています。
注意が必要なこととして、訴訟費用は、勝訴したからといって自動的に金額が確定し、相手方に請求することができるわけではありません。勝訴後に訴訟費用額確定処分という手続きを申立てなければなりません。この手続きにある程度の手間と時間がかかること、基本的に訴訟費用の金額がそこまで高額にはならないことから、実際に訴訟費用を相手方に請求することは稀です。