ゴルフ場の資産状況の確認方法など

<ポイント>
◆ゴルフ場数、延べ利用者数の推移
◆業務及び財産状況を記載した書類の閲覧請求

1 最近では、ゴルフ場の預託金返還請求に関するご相談が増えています。民事再生手続が行われていないゴルフ場については、ゴルフ会員権を相続させるかどうかで悩む方が増えているように思われます。
預託金の返還請求を考えれば、ゴルフ場の経営状況に気になるところかと思います。

2 ゴルフ場の趨勢
ゴルフ場数、延利用者数をゴルフ場利用税から集計したものを「一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会」が公表しています(以下のリンクは2023年4月18日現在のもの)。
https://www.golf-ngk.or.jp/news/2022/riyouzei/2022riyouzei.pdf
ゴルフ場利用税は、特殊な税金ですが、地方公共団体の基調な収益源になるとともに、ゴルフ場自体が雇用の場として、地域住民の収入源になるなど、ゴルフ場の存在が重要な生活を支える産業となっています。公開されたデータをもとに集計されているようで、趨勢をつかむには良いデータであろうと思います。
(1)ゴルフ場数
ゴルフ場については、近年ソーラーパネルの設置場所に転換されるなどのニュースをみかけ気になっていたところです。上記表からすると2002年(2,460)までは増加が続いていましたが、2003年以降は減少し続け2021年現在で2,207となっています。
(2)ゴルフ場利用者数
利用者数については、年度によってばらつきがありますが、1992年をピークに減少する傾向にあり、2021年で89,694人となっています。2020年は81,347人でしたが、2021年に8,347人も利用者数が増えたのは、コロナ・ウィルスの影響があるのかもしれません。2021年がゴルフ・プレーヤーの本格的な回復によるものか、一時的なものかは今後の推移を見守っていくことになります。
(3)以上からすると、2021年は、一時的にゴルフ場の収益も改善しているようです。この他、ゴルフ場に関するデータが開示されていることがありますので、関心があればインターネット検索等で確認できます。上場会社が運営しているゴルフ場などはEDINETで開示されている「有価証券報告書」等でも概要が確認できます。

3 業務及び財産状況を記載した書類の閲覧請求
ゴルフ場の資産状況を確認するには、あまり知られていませんが、ゴルフ場に財産状況の開示を求めることができます。「ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律(平成4年法律第53号)」第9条により、会員制事業者は、当該会員制事業者の業務及び財産の状況を記載した書類を備え置かなければならず、会員の求めに応じてこれを閲覧させなければならない、と規定されているためです。
預託金の返還請求をする前に、この規定に基づき財産状況の概要だけでも確認するのが望ましいです。