予定納税の減額申請
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所得税及び復興特別所得税の予定納税の期限が近付いてきました。新型コロナウイルス感染症に関する助成金や支援金を受け取った影響で前年所得が大きくなったために、当年の予定納税額が多額になっているケースがあります。
今回は予定納税とその減額申請について確認します。

1.予定納税の概要
前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税基準額が15万円以上となる場合には、原則、この予定納税基準額の3分の1相当額をそれぞれ7月(第1期分)と11月(第2期分)に納めるという制度が予定納税です。予定納税額は、確定申告の際に計算した税額から差し引くことにより精算します。

2.予定納税の減額申請
予定納税の義務のある納税者が、廃業、休業又は業況不振等により、①その年6月30日の現況による申告納税見積額が予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額に満たないと見込まれる場合、②その年10月31日の現況による申告納税見積額が既に受けている減額の承認に係る申告納税見積額に満たないと見込まれる場合において予定納税額の減額を求める手続です。
減額申請手続における申告納税見積額の計算は、その年の税制改正があった場合には、改正後の税法を基として計算します。

3.減額申請手続の対象者
(1)廃業や休業、失業をした場合
(2)業況不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合
(3)災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合
(4)次の①から⑤のように、本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合
①災害や盗難、横領により住宅や家財に損害を受けたなどのために雑損控除を受けられる場合
②多額の医療費を支出したため、医療費控除を新たに受けられる場合や前年分よりも医療費控除額が増加する場合
③配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除を新たに受けられる場合や、これらの控除の対象となる人が増加した場合
④社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の控除額が増加する場合や、一定の寄附金を支出したため寄附金控除を受けられる場合
⑤(特定増改築等)住宅借入金等特別控除や政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除などを新たに受けられる場合や、これらの控除額が増加する場合
なお、上記(1)から(4)以外の場合でも、特殊な事情が生じたことにより、予定納税額の減額を申請することができる場合があります。

4.提出時期
第1期分及び第2期分の減額申請については、その年の7月1日から7月15日までに提出してください。
第2期分のみの減額申請及び特別農業所得者の減額申請については、その年の11月1日から11月15日までに提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
また、申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類を添付する必要があります。