コンプライアンスについて従業員が留意すべき点

<ポイント>
◆コンプライアンスとは法律だけでなく社会規範やルールを守ること
◆コンプライアンス違反があれば企業にも個人にも不利益が発生
◆慣例的になされていることでもコンプライアンス違反ではないか留意すべき

 

コンプライアンスとは英語の名詞「compliance(従うこと・命令に応じる)」が 転じて、企業が「法律や条例だけでなく、社会的規範や企業倫理、社内規定、就業規則などの幅広い規則を守る」ことを言います。
コンプラ違反の例としては、犯罪や行政法規違反、企業の定めるルール違反などがあります。
コンプライアンス違反があれば、社会問題になり会社の信用を低下させることもあります。
企業の構成員である従業員についてコンプライアンス違反となる行為があった場合、社内的には懲戒処分や解雇などの人事上の不利益があります。
犯罪行為や行政法規違反がコンプライアンス違反であることは比較的理解がしやすいのですが、仮に社内で慣例的になされていたことであっても、客観的にコンプライアンス違反であれば、慣例であったことや、悪いと思っていなかったことは言い訳にはなりませんので、会社の構成員の一人一人が、何がコンプライアンス違反になるかについての知識を持つことが必要です。
そこで、今回はコンプライアンスについて従業員が留意すべき点について例をあげて解説したいと思います。

(1)公私のけじめをつけること。
例としては、会社の備品を持ち帰らない、私用のコピーをしない、会社のものは大切に使うなどがあげられます。 
廃棄物であっても会社の所有物なので、廃棄を指示されればそれに従い、自分のものにしたり売ったりしてはならないことも認識すべきです。

(2)経費精算を適正に行うこと
誘惑はそこここに潜んでいますので、それだけに襟を正す必要があります。
経費に関する不正は、一度見つかればほかにもあると強く推認され、発覚した金額が少額であっても厳しい処分がされがちです。
多くの場合会社に対する詐欺罪などが成立することが多いので、一度目でも懲戒解雇がなされることもめずらしくありません。
インボイスの関係で、タクシーチケットを使用しても領収書を受け取る必要が生じているとも聞いていますが、間違っても二重請求を行ったりしないように充分注意する必要があります。

(3)ネットリテラシー
ネットリテラシーとは、インターネットの情報や事象を正しく理解し、それを適切に判断、運用できる能力のことを言いますが、会社が特定される形でのSNSへの発信はルールを守って行う必要があります。
誹謗中傷等は会社の意見と混同される恐れがありますし、内容によっては会社の信用を棄損する場合もあります。また、刑法上の名誉棄損罪等が成立する場合もありますので注意が必要です。
社外に持ち出してよい情報と持ち出してはいけない情報を理解してルールを守ることも重要です。

(4)個人情報の取り扱い
個人情報の含まれたものについては慎重に扱い、適正な手続きを経ずに持ち出したり閲覧したりしないことを留意しましょう。
また、社内の噂話も行き過ぎれば問題になったり犯罪になったりすることもありますのでこの点も認識しておくことが必要です。

(5) 社内ルールの順守
必要な届け出を速やかに行うことも大切です。特に手当等会社からの支給が行われることと関連があるものについては特に気を付けましょう。

(6) ハラスメント行為
当然のことですが、パワハラ、セクハラ、マタハラはコンプライアンス上も許されない行為です。

(7) その他就業規則で禁じられている行為や懲戒事由とされている行為をしっかり理解しそのような行為は行わないことが必要です。