事業用借地権の種類と内容

 木ノ島 雄介

2011年09月01日

<ポイント>
◆事業用借地権には2種類ある
◆その2種類は、存続期間、特約の要否の点で異なる
◆事業用建物であっても事業用借地権が認められないものがある

土地所有者にとって定期借地権の一番のメリットは、契約当初に定めた期間が満了したことにより、立退料を支払うことなく土地が確実に戻ってくることです。
ただ、定期借地権にはいくつかの種類があって内容も複雑であるため、上記メリットを受けるには、その種類・内容を把握することが必要です。そこで、その種類・内容について説明します。
定期借地権は、大きく分けると一般定期借地権、事業用借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があります。
一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権については、下記リンク先に詳しい説明が書かれていますので、そちらをご参照下さい。
借地・借家Q&A

事業用借地権は、平成20年1月1日に法改正がなされました。
改正前の事業用借地権は、存続期間が10年以上20年以下でなければなりませんでした。
しかしながら、存続期間が20年以下では事業用借地権者が建物を建築するのに投下した資本を回収することが難しい場合があり、また、土地を更地にして明け渡すために建物の減価償却期間終了前に建物を取り壊さなければならないなどの問題もあったため、より長期の事業用借地権に対するニーズが高まりました。
そこで、法改正により、事業用借地権の存続期間を「20年以下」から「30年未満」に引き上げて10年以上30年未満とし、さらには、後述するとおり、存続期間を30年以上50年未満とする事業用定期借地権を別に設け、平成20年1月1日から施行されています。

事業用借地権についてもう少し詳しく述べますと、専ら事業に利用する建物の所有を目的とし、10年以上30年未満の間で存続期間を定めて借地権を設定すると、特約を結ぶことなく法律上当然に、(1)契約の更新がない、(2)建物の再築による残存期間の延長がない、(3)存続期間が満了しても借地人は土地所有者に対して建物を買い取るよう請求することができない、ということになります。
法律上当然にこれらの効果が生じることがポイントです。
そして存続期間が満了すると借地権は消滅し、建物が収去されて土地が戻ってくることになります。
これに対し、法改正により別に設けられた事業用定期借地権は、専ら事業に利用する建物の所有を目的とし、30年以上50年未満の間で存続期間を定めるものですが、上記(1)(2)(3)の内容の特約を結ばなければ、存続期間が満了しても契約が更新され、土地が戻ってこないなどの問題が生じるおそれがあります。

また、事業用借地権として認められるには、前述したように、借地上の建物が専ら事業に利用されるものでなければなりません。例えば、レストラン、ゲームセンター、ショッピングセンターなどです。
ただし、たとえ専ら事業に利用する建物であっても、人の居住が想定されている場合には、事業用借地権としては認められません。例えば、賃貸事業を営む不動産会社が借地上に賃貸マンションを所有して借家人に居住してもらう場合です。理由は、居住者の保護のためです。この場合は、定められた期間が満了しても当然に土地が戻ってくることにはならないので注意が必要です。

なお、事業用借地権の設定は、公正証書によりなされなければならないことにも注意を要します。