執筆者:昭和芸能デスク
2023年11月15日

年じゅう食べてはいるものの、鮭やきのこ、秋の味覚がよりおいしく感じられるこの季節。
と思いきや、〽︎今はもう秋〜♪と口ずさむ間もなく、暦の上ではもう冬。
本格的な寒さを迎える前に、書籍なりスポーツなり何かにかこつけて、気分だけでも秋を楽しみたいものです。
アウトドア派には行楽シーズンでもあります。紅葉狩りに流行りのキャンプやグランピング、はたまた人混みを避けて「誰もいない海」に行くのも一興かもしれません。

芸術の秋という手もあります。
音楽や美術…ジャンルは幅広いですが、手っ取り早く、気になる映画を観に行くのも良いかなぁと思案中です。
気になっているのは、現在公開中の岩井俊二監督の映画『キリエのうた』です。
この最新作公開にあたり、いろいろな媒体で過去の作品を見かける機会も増えました。
岩井監督作品といえば、『スワロウテイル』(1996年公開)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年公開)などが有名ですが、私が劇場で観た唯一の作品が、監督初の長編映画『Love Letter』(1995年公開)です。
この映画を観に行ったのが、大手配給会社のものやいわゆるシネコンといった大型映画館ではなく、お芝居などもかけていた小さな劇場でした。
私の古い記憶では、天井がやや低く、手前に小洒落たアクセサリーや変わった雑貨を並べた売場があったり、ギャラリーのような空間もあって、ちょっと軽く食事もできるカフェが併設されていました。
場所は扇町公園のすぐそばにあり、その名も「扇町ミュージアムスクエア」。
しばらく足が遠のいていたのですが、2003年に閉館になっていました。
昨年秋には、茶屋町にある「テアトル梅田」も閉館となり、関西文化の灯が消えていってしまっているようで寂しく思っていたところでしたが、この扇町ミュージアムスクエアが「扇町ミュージアムキューブ」として今年10月、およそ20年ぶりに復活しました。
元の場所からは少し移っていますが、やはり、扇町公園の近くに建てられ、以前と同様、映画だけでなく、演劇などの舞台芸術も観られる施設となっているようです。
私も最初に「スクエア」に来たのは、映画ではなく、演劇部の同級生に連れてきてもらって観た一人芝居でした。また、マキノノゾミさん主宰の劇団M.O.Pのお芝居もこの劇場で観ました。今では考えられないくらい、舞台と客席が近く、熱気がとても伝わってきたのを覚えています。その後、キムラ緑子さんをはじめ、劇団所属の俳優さんたちをテレビや映画でよく見るようになりました。コロナ禍のことを思うと、あの当時の観劇は贅沢な空間だったなと思います。

ライブなど観客の声出しも解禁になってきています。こうした活気ある舞台やアートがまた観られるようになると思うとわくわくします。