相続等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更
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【概要】
昨年7月、遺族の方が年金として受給する生命保険金のうち、相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象にならないとする最高裁判所の判決がありました。
判決に伴いこのような年金については税務上の取扱いが改められているので、以下、要点を説明します。
これにより、平成17年分から平成21年分までの各年分について所得税が納めすぎとなっている方につきましては、その納めすぎとなっている所得税が還付となります。

【対象者】
相続、遺贈または個人からの贈与により取得したものとみなされる生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金(保険年金)を受給している人が、今回の取扱いの変更の対象となります。
なお、実際に相続税や贈与税の納税額が生じなかった人も今回の取扱いの変更の対象となります。

【取扱いの変更】
受給する保険年金について、次のように取扱いを変更します。
変更前・・・各年の保険年金の所得金額(年金収入額-支払保険料)の全額に所得税を課税
変更後・・・各年の保険年金を所得税の課税部分と非課税部分に振り分け、
      課税部分の所得金額(課税部分の年金収入額-課税部分の支払保険料)にのみ所得税を課税
※ 保険年金支給の初年は全額非課税で、2年目以降、非課税部分が除々に減少していきます。

【必要な手続き】
取扱いの変更の対象となる人には、所得税が還付になるため税務署での手続きが必要になる人や、所得税は還付とならないが、住民税や国民健康保険税などが減額となるため市区町村での手続きが必要になる人等がいます。

【所得税の還付の手続きに必要な書類】
所得税の還付の手続きとその際に必要な書類は、次のとおりです。

1、既確定申告者・・・更正の請求
(1) 保険年金の受給期間や受給総額などがわかる書類(生命保険会社等から保険年金に関する通知を受けた人は、その通知書)
(2) 更正の請求をする年分の確定申告書の控
(3) 印鑑、還付金の振込先の金融機関名・支店名・口座番号がわかるもの

2、未申告者・・・確定申告(還付申告)
申告する内容によって必要な書類は異なりますが、一般的には次の書類が必要です。
(1) 保険年金の受給期間や受給総額などがわかる書類(生命保険会社等から保険年金に関する通知を受けた人は、その通知書)
(2) 給与所得や公的年金等の源泉徴収票など(他の所得に関する書類)
(3) 社会保険料、生命保険料、地震(損害)保険料控除証明書など各種控除に関する書類
(4) 印鑑、還付金の振込先の金融機関名・支店名・口座番号がわかるもの

【所得税の還付の手続きの期限】
更正の請求は、取扱いの変更を知った日の翌日から2ヵ月以内(更正の請求に基づき減額更正できる期間は、原則として申告書を提出した日から5年間です。このため、平成17年分について平成18年1月1日に確定申告した方は平成22年12月末で期限切れとなっていますので、ご注意ください)に行う必要があります。
また、確定申告(還付申告)は、申告する年分の翌年1月1日から5年を経過する日(平成17年分については、平成22年12月末日が期限)までに行う必要があります。

【その他】
平成12年分から平成16年分までの各年分の所得税の還付については、現行法で対応できないため、特別な制度上の措置が検討されています。