令和5年景表法改正について(その1)

<ポイント>
◆令和5年に景表法が改正され、令和6年中には施行される
◆いわゆる確約手続が導入される

 

令和5年5月17日に景表法を改正する法律(不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律)が公布されました。この法律は公布日から1年6ケ月以内に施行されるため、令和6年中には施行される見込みです。

本改正は以下の3つの観点から整理することができます。
第1 事業者の自主的な取組の促進
第2 違反行為に対する抑止力の強化
第3 円滑な法執行の実現に向けた各規程の整備等

以下、順に解説していきます。

第1 事業者の自主的な取組の促進
1 確約手続の導入
景表法は、過大な景品類の提供等を禁止し(第4条(条項は改正後のもの。以下同様。))、優良誤認表示や有利誤認表示等の不当な表示を禁止しています(第5条)。これらの禁止に違反する行為をした場合、違反をした事業者は、措置命令(違反行為の差止め、再発防止等の命令(第7条))を受けることがあります。また、第5条の禁止に違反する行為をした場合には、課徴金納付命令(第8条)を受けることがあります。
確約手続とは、これらの禁止に違反する行為をした疑いのある事業者が是正措置計画を申請し、内閣総理大臣から認定を受けることによって、措置命令及び課徴金納付命令の適用を受けないことにする手続きのことです。この確約手続の流れは、概ね以下のとおりです。
(1) 違反が疑われる事業者への通知
事業者の行為が上記景表法第4条、5条の禁止に違反すると疑われる場合において、内閣総理大臣は、その事業者に対して、一般消費者による自主的かつ合理的な商品及び役務の選択を確保する上で必要があると認めるときは、次の事項を通知することができます(第26条)。
・疑いの理由となった行為の概要
・違反する疑いのある法令の条項
・是正措置計画に係る認定の申請(後述)をすることができる旨
(2) 是正措置計画に係る認定の申請
上記の通知を受けた事業者は、疑いの理由となった行為およびその影響を是正するために必要な措置に関する計画(是正措置計画)を作成し、通知を受けた日から60日以内に内閣総理大臣に提出し、同計画の認定を申請することができます(第27条1項)。
(3) 是正措置計画の認定
内閣総理大臣は、上記の申請があった場合において、是正措置計画が次のいずれにも適合すると認める場合には、同計画を認定します。
・是正措置が疑いの理由となった行為及びその影響を是正するために十分なものであること
・是正措置が確実に実施されると見込まれるものであること