ベンチャーがコロナ禍のなかで資金調達する際の留意点
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<ポイント>
◆VCによる投資はコロナ禍のなかでも比較的堅調
◆事業会社やCVCによる投資は各社さまざま
◆金融緩和が転換点を迎えるなどした場合の情勢の変化に留意

ベンチャー、スタートアップへの注目が近年高まっています。
「ベンチャー白書2020」(ベンチャーエンタープライズセンター)によると、2019年の国内のベンチャーキャピタル(VC)による投資額は2891億円と過去20年間で最高額だったとのことです。

白書によると2020年については通年の統計が未了であるものの、コロナ禍のなかにあってもVCによる投資は比較的堅調であったそうです。
なお、大企業やその傘下のCVCによる投資については、一部に新規のファンド立上げや活発な投資もみられるもののCVC事業からの撤退事例もあるとして、白書はこれを「まだら模様」と評しています。
弊所において関与した案件をみても概ね上記の指摘に整合しているように思います。

現在もVCからの資金調達に関するご相談をいくつかお聞きしています。
バブルのようにいわれながらも、ベンチャーの経営者としては資金調達の目途がたつことで「ホッとする」ところがあるはずです。

流動的な状況下で株式発行して資金調達する場合、特に次回以降の資金調達ラウンドも予定しているベンチャー企業にとっては、「将来の資金調達がどうなるか」を特に考えておく必要があります。
コロナ問題の難しさのなかでもVCによる投資が活発なのは、金融緩和によりファンドに資金が集まりやすいことが背景となっているところもあるでしょう。
それでは金融緩和が転換点を迎えるなどして情勢がかわったときにはどうなるでしょうか?
そのタイミングでさらなる資金が必要になったときに、当社の主要VCは追加投資に対応できるでしょうか?
既存ファンドの資金規模や満期までの年数のほか、新規ファンドを立ち上げて資金を集める力があるVCかどうか、といったことが関わってきます。VCの実績を参照することも大事です。

投資家がベンチャー企業を選別するだけでなく、ベンチャー企業側も投資家を選別していく姿勢が必要です。