事務職員のエッセイ

2021年04月15日
近くても

当事務所は大阪市中央区伏見町3丁目、淀屋橋と北浜の真ん中辺りに位置し、往来している多くの人はだいたいお勤めの方という落ち着いた雰囲気のビジネス街にあります。梅田や難波、天王寺のようなたくさんの人出は無く学生さんたち若者の姿もあまり見かけず、静かな穏やかな街です。

最近、休日の北浜を歩く機会がありました。
天満橋にはよく行くのですが、休日の北浜はほぼ初めての体験です。
京阪電車のなにわ橋駅で下車し4番出口から外に向かうと中之島の東側、ちょうど難波橋の近くに出ます。ライオン橋と言ったほうが大阪人には通じるかもしれません。堂島川と中之島と土佐堀川にまたがってかかり、南北の両橋詰にライオンが鎮座するレトロで素敵な橋です。「ザ・水都大阪」を実感できる場所ではないでしょうか。
難波橋の南詰は北浜1丁目になるのですが、この交差点の南東角には大阪証券取引所を背にして五代様が立っていらっしゃいます。朝ドラ「あさが来た」ですっかり五代様ファンになった私はいつもこの場所でちょっとばかり気分が高揚するのです。
、、、と北浜の風情を楽しみにやって来たのですが、なんのなんの、なんだこれ。
北浜1丁目交差点界隈が大混雑。おしゃれな装いの若者であふれているのです。
交差点にある花壇にもスズメのようにずらっと座って何かを待っています。ソーシャルディスタンスは!?と見ているほうが怖くなるくらいにびっしり座っています。どうやら角にあるカフェの順番待ちのようなのです。
よく見れば川沿いに並ぶカフェのテラス席はどこも満席。川に向かって座る笑顔満開の人・人・人。少しでも安全なところで友達とおしゃべりしたい、ということで人気沸騰中なのでしょうか。はたまた芸能人やインフルエンサーがお勧めしたのでしょうか。それともコロナ禍以前からそもそもこうだったのでしょうか。
とにかく、私の持っていた「北浜は大人の街、静かな街」というイメージは平日限定だった模様です。
動揺を隠せないままそんな難波橋を離れ南に進んでいったのですが、そこここの喫茶店で行列ができ、訪れたパン屋さんのイートインにも次から次へと若者が入っていきます。いつも閑散としているコーヒー屋さんを覗けばここもどうしたことか順番待ち。
マスク姿に違和感を覚えるほどに土佐堀通も堺筋もガヤガヤと賑やかで華やかでありました。
人込みを避けて1本奥の細い道へ逃げ込むとそこにはいつもの静かな北浜がありました。ちらほらとほころび始めた小学校校庭の桜がさわさわと風に揺れ、子犬の散歩をする人とすれ違います。いつも通らない小道を抜けてみたりして、知らなかった休日の北浜、知らなかった小道の開拓にちょっとした冒険気分を味わいました。

幼いころ大好きだった「カロリーヌの冒険」という絵本があります。小学館から発行されたハードカバーの、今はもう絶版している分厚い絵本です。
金髪に青い瞳のカロリーヌという元気な女の子が犬や猫やクマなど楽しい仲間たちと世界中を冒険する全4冊のシリーズで、なんと月へも行ったりするのです。
まだ行ったことも見たこともない世界がとても豊かな色彩で描かれたこの絵本に惹きこまれた私は、毎日のように、カロリーヌと楽しい仲間たちと一緒に絵本の中の大冒険に出かけたものでした。
今はもうしばらくカロリーヌのような世界旅行はできそうにありませんが、北浜の一件のように、超近場であっても知らない場所はたくさんあって、知っていると思っていても知らないことはたくさんあって、いつどんな時でもいくつになってもワクワクする冒険はできるものです。
またどこかに冒険したらお知らせいたします。

気まぐれシェフ