2020年12月01日

人間が幸せに暮らすために一番必要な能力は、忘れることと許すことではないかと思っています。
日々生活していると、不愉快な出来事を完全に避けることはできません。
また、親子関係や親族関係、夫婦関係や職場での人間関係など、人とのかかわりのあるところにはトラブルはつきものです。
解決法は事柄によっていろいろあるのでしょうが、肝心なのは自分の被るダメージを少なくすることです。
そのために一番有効なのは、忘れることと許すことだと思うのです。
もちろん、何があったのかをきれいさっぱり忘れるという意味ではありません。(それができるならそれでもよいのですが。)
そのことに対する怒りや苛立ちなどの生々しい感情をなるべく早く忘れて、相手を憎まないということです。
相手に必要な反撃や対処をしないということでもありません。(残念ながら対処のなかには、その人との付き合いをやめる、というのも入ったりします。)
それらのことを必要最低限したあとは、忘れるのです。
その癖がつくと、何かあっても「どうせ後で忘れるのだから。」という気持ちになり、心の中の「忘れること」を入れる箱に自然に入るようになってきます。
瞬時に忘れることができるときもあれば、数日を要することもあります。
これも修行なので、だんだん上手になってきます。

忘れるのも最初は難しいのですが、忘れるためには、読書する、音楽を聴く、美味しいものを食べる、体を動かす、ひたすら寝る、人に聞いてもらう、などいろいろな方法があります。
時間が経てば自然に忘れるところをこれらの手段を用いることによってスピードアップするのです。
練習すればさらに早く忘れることができるようになります。
事柄によっては、どうしても忘れたり許したりするのが難しいときもあります。そういうときは、相手にもそのような行動をする理由があるのだ、ということをつらつら考えてみたり、最終的にはこういうことも何かのめぐりあわせであり、何らかの理由で自分にとって必要なことだったのだ、という謎の理論まで投入したりします。

注意すべきことは、うまく忘れたり許したりすることができないときにも決して自分を責めないことです。
これはそれだけの時間がかかることなんだなあ、と忘れたり許したりできないその状態を受け入れるほかないときもあります。
そのときは「忘れること」のすぐ横にでも「もうすぐ忘れること」の箱を作って入れておくとよいように思います。いつかは「忘れること」の箱に入ることを願いつつ。

このことによって何が起こるかというと、嫌なことを考える時間が減ります。
相対的に楽しいことを考えることが増えます。
それがすなわち自分の暮らしを楽しく豊かにすることだと思うのです。

たいしたことのない理論ではありますが(あるいはひょっとして啓発本などで言い尽くされていることかもしれませんが)、最近思い浮かぶことの多いフレーズなので紹介しました。