<ポイント>
◆外部管理者方式を新築マンションに導入する場合は、既存マンションに導入する場合と比べると、管理運営に対する区分所有者(購入希望者)の理解が深まりにくい傾向にある
◆そこで分譲契約締結まで、分譲契約締結時、その後のプロセスごとに、区分所有者(購入希望者)に、外部管理者方式等について丁寧に情報を提供して説明する必要がある
前回に引き続き、区分所有者以外の外部専門家が管理者となる「外部管理者方式」についてみていきたいと思います。
(国土交通省作成のマンション標準管理規約(単棟型)の別添1のほか、令和6年6月改訂「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が参考になります(以下「令和6年6月改訂ガイドライン」といいます。001746827.pdf)。
これまでは、既存マンションにどのように外部管理者方式を導入するかを念頭にお話ししました。今回は、新築マンションに外部管理者方式を導入する際の注意点についてお話ししたいと思います。
まず挙げられる点は、新築時から外部管理者方式が導入されていると、区分所有者は、管理組合がマンション管理の主体であることを意識しづらいことです。また、区分所有者の管理運営への関与が当初から高くなく、管理運営についての理解が深まりにくい点も挙げられます。さらには、既存マンションでは、外部管理者方式の導入の是非について、区分所有者間で協議・検討したうえで決定できますが、新築マンションではそのような手続を踏めないので、各購入希望者が購入時点までに自ら検討を行う必要があることも挙げられます。
以下、令和6年6月改訂ガイドラインに従い、分譲契約締結前までのプロセス、分譲契約締結後のプロセスに分けてみていきたいと思います。
まずは、分譲契約締結前までのプロセスについて
同ガイドラインによると、マンション分譲時に、分譲業者が重要事項説明書の附属資料として管理者業務委託契約書などを示すことも考えられるけれども、書面を示すだけでは購入希望者にとって外部管理者方式に対する理解が深まらない可能性があるので、分譲業者から、より丁寧な情報提供を行うことが望ましいと述べられています。例えば情報提供を行う際に、以下の1~7の事項について記載した書面を交付したうえ、 口頭にて説明を行うことが望ましいとされています(各事項の詳細は、令和6年6月改訂ガイドラインの図6をご参照ください)。
1.管理者の権限の範囲
2.通帳・印鑑の保管方法
3.外部専門家が管理者の地位を離れる際のプロセス
4.日常の管理での利益相反取引等におけるプロセスや情報開示の方法
5.大規模修繕工事等におけるプロセスや情報開示の方法
6.監事の設置と監査の方法
7.その他重要事項(管理者業務にかかる費用及びその支払いの時期など)
また、必要に応じて、管理者に就任予定の外部専門家が購入希望者に直接説明することが望ましいとされています。
次に、分譲契約締結時及びその後のプロセスについて
新築マンションに外部管理者方式を導入するにあたっては
➀分譲契約締結時に、外部管理者方式の導入を含む管理規約案について購入者の同意を得るケース
➁設立総会時に管理者を誰にするかについて同意を得るケース
が考えられる、とされています。
・そのうえで購入者は、分譲契約締結時に外部管理者方式について一通り説明は受けているであろうけれども、実際に居住を開始するにあたり、マンションの管理上どのような点に留意すればよいのか等をあらためて理解する必要がある
・そこで、設立総会やそれに近いタイミングで、管理者たる外部専門家から、外部管理者方式の説明をあらためて行うとともに、あくまで管理の主体が区分所有者等で構成される管理組合であること等について説明を行うことが必要がある
・その際には再度、上述した1~7の各事項について説明することが望ましい
とされています。参考になれば幸いです。
