<ポイント>
◆メリットとして、管理者(役員)の担い手不足の解決策とあり、専門的知見に基づく機動的な業務執行が期待できることなどが挙げられる
◆外部専門家による外部管理者方式を採用した場合も、マンション管理の主体は管理組合であり、区分所有者が管理者・役員の選任や業務の監視を適正に行うことが重要
前回は「分譲マンションにおける外部専門家の活用」についてお話ししました。
URL:分譲マンションにおける外部専門家の活用について – 弁護士法人栄光 栄光綜合法律事務所
外部専門家や管理業者など区分所有者以外の者が管理者となる「外部管理者方式」のうち、前回お話しした「分譲マンションにおける外部専門家の活用」における
〇【理事・監事】外部専門家型または【理事長】外部専門家型
(理事会あり、理事長=管理者、外部専門家が役員(理事長を含む)に就任)
〇外部管理者・総会監督型
(理事会なし(=理事長不在)、外部専門家が管理者に就任)
について、今回からみていきたいと思います。
マンション標準管理規約(単棟型)の別添1のほか、国土交通省作成の「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」(001746827.pdf)が参考になります。
既存の分譲マンションでは、理事会業務の負担を緩和するにはどうしたらよいのかを理事会で協議していく中で、まずは、役員の人数を減らす・業務内容を減らす・外部専門家を顧問として招聘するなどが考えられます。
それでもなお理事会業務が負担となる場合に、一つの選択肢として、外部専門家による外部管理者方式を採用するかどうか、メリットやデメリットを踏まえつつ検討することになると思われます。
外部専門家による外部管理者方式のメリットとしては
・区分所有者の負担軽減につながることがあり、管理者(役員)の担い手不足の解決策となる場合があること
・外部専門家が管理者業務を担う体制となり、専門的知見に基づく機動的な業務執行が期待できる場合があること
などが挙げられます。
外部専門家による外部管理者方式のデメリットとしては
・管理者の報酬を支払うことに伴い管理組合の支出が増大したり、管理者と管理組合の利益相反が生じたりする可能性が高まること
・必要な範囲を超えて管理者権限が強くなることで管理者に対する監督が弱まったり、 管理に対する区分所有者の関心の低下につながったりするおそれがあること
などが挙げられます。
したがって検討の結果、外部専門家による外部管理者方式を採用することにした場合も、管理者に任せきりにするのではなく、マンション管理の主体は、あくまでもマンションの区分所有者で構成される管理組合であることを前提に、区分所有者が管理者・役員の選任や業務の監視を適正に行うことが重要です。
次回以降、引き続き外部管理者方式(外部専門家による)をみていきたいと考えています。