<ポイント>
◆過失割合は基本的に当事者同士の話し合いによって決まり、合意ができないときは裁判で決める
◆過失割合検討の前提として、まずは事故態様を確認することが重要
◆事故類型ごとに基本の過失割合をまとめた書籍が存在し、実務上はそれを基に過失割合を検討することが多い
交通事故はその態様も原因も多岐にわたります。センターオーバーでの対向車との衝突や信号待ちで停止中の車への追突など、一方当事者の過失によって発生する事故もありますが、当事者双方に何らかの過失がある事故も多く発生しています。
交通事故における過失割合とは、当事者双方に過失がある事故の場合に、それぞれの過失(責任)の割合を表したものです。例えば、事故により当方に生じた損害額が合計100万円で、過失割合が当方20:相手方80であれば、相手方に損害賠償請求できる額は80万円となります。
このように相手方に請求できる金額や逆に相手方に支払うべき金額が変わるため、過失割合は示談交渉や裁判によっても争われることの多い重要な論点となります。
過失割合の決定に際して、まずは当事者同士または保険会社や弁護士などの代理人同士で話し合うことになります。当事者双方の話し合いによっても合意できない場合は、裁判によって過失割合を決定することになります。交通事故の場合、警察が捜査を行うこともありますが、過失割合の決定に警察は直接関与しません。
過失割合を検討する前提として、当事者間で事故態様を確認することが必要になります。近年はドライブレコーダーが普及していることもあり、事故時の映像が残っていて事故態様について争いが生じないということもありますが、そうでなければ、当事者双方の認識や主張が食い違うということはよくあります。弁護士は物件事故報告書や実況見分調書などの刑事記録を取得して事故態様の把握を試みることもあります。
事故態様が確定し、保険会社や弁護士が過失割合を検討する際には、過去の裁判例から事故の主体や態様ごとに基本の過失割合をまとめた「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]」(別冊判例タイムズ38号)という書籍を参考にするのが一般的です。
ただし、この書籍を参考にする場合でも基準と全く同じ事故ということは考え難いため、その事故特有の事情(修正要素)の有無を細かく検討する必要があります。
また、この書籍に掲載されていない類型の事故については、類似の裁判例を調査し、裁判例の事案と異なる点はどこかという観点で個別の過失割合について検討することもあります。
このように適正な過失割合を判断した上で、事故に関する資料や裁判例など根拠を示しながら相手方と交渉することには大変な時間と労力を要します。また、示談交渉がまとまらず、裁判に進んだ場合でも、弁護士が受任していれば、そのまま対応することもできます。相手方の提示する過失割合に納得がいかない場合には一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
