区分所有マンションの理事会について3 *理事会の議決事項
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<ポイント>
◆理事会は総会提出議案や理事長の職務の当否等について決議する
◆総会開催が困難な場合に理事会が機動的に動くこともありうる

前回は、理事が理事会に出席できない場合についてお話ししました。
今回は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準規約」といいます)で定められている理事会の議決事項についてお話します。

1.収支決算案・事業報告案・収支予算案・事業計画案
2.規約・使用細則等の制定・変更・廃止に関する案
3.長期修繕計画の作成・変更に関する案
4.その他の総会提出議案
 理事会で決議されたこれら1~4の案は総会に提出され、総会で決議されて成立します。

 ほかにも
5.区分所有者による「専有部分の修繕等」「敷地・共用部分等の保存行為」「各住戸の開口部(=共用部分のひとつ)の改良工事」についての理事長の承認・不承認
6.総会での収支予算案の承認決議前に支出することがやむを得ない経費を理事長が支出することについての承認・不承認
7.理事長による、未納管理費等・使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
8.法令・規約・使用細則等に違反した区分所有者等に対し、是正等のために理事長が勧告・指示・警告をすること。
 区分所有者等が規約・使用細則等に違反したとき、または何者かが敷地・共用部分等で不法行為を行ったときに、理事長が
 A.管理組合を代表して訴訟その他法的措置を追行すること
 B.敷地・共用部分等について生じた損害賠償金等の請求・受領に関し、区分所有者のために、訴訟において原告または被告となること、その他法的措置をとること
9.総会から付託された事項
10. 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
11. 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任
が挙げられます。

 上記10について補足します。標準規約のコメントの一部を抜粋・要約しますと
■「総会の開催が困難である場合」とは、避難や交通手段の途絶等により、組合員の総会への出席が困難である場合である

■「応急的な修繕工事」とは保存行為に限られず、二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応が必要な、共用部分の軽微な変更(形状または効用の著しい変更を伴わないもの)や狭義の管理行為(変更及び保存行為を除く、通常の利用・改良に関する行為)も含まれる
【応急的な修繕工事の具体例】
給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻付けによる柱の応急的な耐震補強など

■「応急的な修繕工事の実施等」の「等」としては、被災箇所を踏まえた共用部分の使用方法の決定等が該当する

とされています。

また、標準規約では、理事会が上記10「災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等」の決議をした場合、その実施のための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについても決議できる、とされています。

標準規約上、理事会の議決事項としてはほかにも
A.理事長の職務の内容
B.理事長による職員の採用・解雇
C.理事長がその職務の一部を他の理事に委任すること
D.各理事が担当すべき管理組合の業務の内容
E.理事長による臨時総会の招集
F.理事長が、総会招集通知日と総会開催日との間の期間を短縮すること
G.理事会の招集手続についての定め
が挙げられます。

ほかにも、理事会は専門委員会を設置して特定の課題を調査・検討させることができるとされています。

参考になれば幸いです。