事務職員のエッセイ

2020年09月15日
自由研究 -アゲハ蝶にアオムシだったときの記憶はあるか-

アオムシを育ててサナギから蝶に羽化させたことがある者なら、誰もがうすうす気づいているだろう。

この蝶は、私のことを覚えてくれている!!

アオムシはサナギになると、サナギの中で一部の器官と細胞だけを残して一旦すべて溶けてクリーム状になり、一から蝶の体が作られるらしい。
このほぼ別の生物のように生まれ変わった蝶に、アオムシの頃の記憶はあるのだろうか?

アオムシを育てたことがある者が誰もが抱く疑問。
でも、その答えはすぐにわかる。

羽化した蝶に「アオちゃん!」と呼んで手を差し出せば・・・

ほら、手に止まった!

時々私のエッセイに登場する我が家のレモンの木で暮らすアオムシたち。
毎年、晩秋に、このまま外のレモンの木にいると死んでしまうかもと思うときは、室内に保護して育て、越冬させ、春に羽化させている。
毎日、「アオちゃん」と声をかけ、手に乗せる。暖かい手のひらに乗せると喜んで(?)動きも活発になる。
(※ちなみにアオムシは全員アオちゃんという名前です)

アオムシは、ちゃんと「この声の主は敵ではない。」とわかっている。それどころか「救ってくれた。」とわかっているようにさえ思える。触ってもこの声の主にオレンジの角を出すことはない。
そして、「この声の主はいつも新鮮なレモンの葉っぱをくれる。」とわかっている。
声だけでなく人の顔も認識しているかもしれない。手の匂いも覚えているのかもしれない。

そうやって育てた子が、蝶になったとき、「アオちゃん!」と呼んで手を差し出せば手に止まったりする。

懐かしいという感情があるとは思えないが、少なくとも声なのか顔なのか、または手の匂いなのか、覚えているようだ。
これは、たまたま1匹がそうだったというわけではなく、同じようにしてかわいがって育てた子はいつもだいたいこんな感じだ。手に止まることがめずらしくない。

偶然にも今年の6月にさらなる実験ができた。
我が家のレモンの木には、今日にでもサナギになろうかという丸々としたアオムシが3匹いた。
その日、アシナガバチにやられるのではないかという嫌な予感がしたので、その3匹を室内に入れた。するとその日のうちに2匹、翌日に1匹がサナギになった。

さて、このようにほとんど声をかけたり触ったりすることのないままサナギになった場合でも、羽化した蝶は人間の手に止まるのか??
(※外のレモンにいるときやサナギの時にアオちゃんって声をかけていたので完全に声をかけていないわけではないです。)

答えは、ノー。
何日もかわいがって触って育てた子と明らかに反応が違う。
蝶は明るい窓の方に行きたがり、手を差し出しても止まろうとせず、普通の野生の蝶のように逃げようとした。
何度も「アオちゃん」って呼んでいると、思い出したのか近づくようになったけれど。
最初に見たものを親だと思って寄ってきただけというのも無いことがはっきりした。

結論: 蝶にはアオムシのときの記憶がある!! 絶対ある!!

でもひとつだけ心配なことがある。
覚えていてくれるのは嬉しいが、手に止まってくれるのは嬉しいが、
外に行ったら、よその人間には近づいたらだめだぞ。特に網を持った子供には絶対に近づくなよ。

そしてまた、うちのレモンに卵を産みに戻っておいで。

 

イスラム建築マニア