執筆者:昭和芸能デスク
2024年05月15日

インバウンドも復活したようで、最近は体験型と呼ばれるイベントやアクティビティが人気なのだそうです。
このGWなど観光名所や行楽地はどこも賑わって、微笑ましくテレビを見つつも、人混みや渋滞の様子を見ると、家でテレビが一番かなと出掛けなかったことにちょっと胸をなでおろしています。

映画やドラマで舞台となったところやそのロケ地、漫画・アニメのモデルとなった場所などへ実際に足を運ぶ「聖地巡礼」も幅広い層に浸透してきています。
オタクとまではいかないまでも、大河ドラマと朝ドラは大抵見ているので、特にドラマの舞台が関西だと、出不精の私でも興味をそそられます。

現在放送中の大河ドラマは『源氏物語』の作者紫式部を主人公に、平安時代中期の貴族たちの姿を描いており、紫式部や藤原道長ゆかりの名所紹介もよく目にするようになりました。
滋賀県の石山寺や三井寺などはその代表格ですが、ドラマでも、主人公が生活に余裕がない中、恐る恐る父親に石山寺までの友人との小旅行を願い出る場面があります。

また、史実では紫式部と清少納言は面識がなかったとされていますが、ドラマのなかでは、二人してお菓子を食べながら世間話をする場面もあり、親しい間柄の設定です。

主人公に大きな影響を与える道長以外にもたくさんの「藤原」が出てきますが、学生時代に古典や歴史でふわっとしたままだった単語や人物が頭の中できれいに繋がっていくのも今の大河の楽しみの一つです。
最初は登場人物が貴族だと冗長な感じになるのでは‥とやや懐疑的でしたが、そこはさすが大石静さんの脚本。飽きない展開で毎回面白く、キャスト陣もそれぞれ雰囲気があるので、千年前の話なのに「ほんとにこんなだったかも」と思わせるほど現代人がすんなり入り込める物語です。回を追うごとに、聖地巡礼したくなる熱心なファンの気持ちがわかる気がします。

以前、教師をしている友人の勉強がてら、宇治の平等院を訪ねたことがありました。訪ねたといっても、遠巻きに鳳凰堂を拝んだだけで、さっさと退散してしまいました。
関西人の多くがそうであるように、小・中学校の遠足やら家族とも何度も来たことがある馴染み深い場所ではありますが、当時は何とも変わり映えのしない場所と化し、天気があまり良くなかったことも手伝って早々に引き揚げてしまったのです。今、訪ねたとしたら、もっと趣が違ったでしょう。

学生の頃は、漫画『あさきゆめみし』がクラスの間で話題になっていましたが、その波に乗れなかった私は、源氏物語自体もぼやっとした記憶です。長編なので、全帖読んだという方も少ないのではないでしょうか。
おそらく源氏物語ミュージアムもしかり。改めて行ってみるとよいかもしれません。

ですが、光源氏は意外と身近な存在です。朝ドラならぬ、よるドラ『いいね!光源氏くん』は私にとって癒しのドラマでした。創作上の人物であるはずの光源氏が現代にタイムスリップするという奇想天外な漫画原作のドラマで、光源氏が普通のOLである主人公の家に居候していろんなハプニングが巻き起こるコメディです。コロナ禍に突入したばかりの鬱々とした空気の中、クスッと笑える場面が随所にあり、楽しい作品でした。折しも、今の朝ドラヒロインが主人公を演じていました。

その朝ドラは、日本初の女性弁護士のうちのひとりとなり、戦後、女性初の判事・家庭裁判所長も務めたという三淵嘉子さんがモデルで、法曹界が舞台となっています。軽妙なテンポで進み、重い題材も暗くなりすぎず、ひと味違った朝ドラです。
その主人公が憲法について自分の考えを述べる場面があり、憲法記念日にこの放送をぶつけてきた神回だとネット上で沸いたとか。ドラマファンは、細かなところをよく見ているものです。
こうして筆を進めていくと、私も結構ドラマオタクなのかもと思ってきました。