事務職員のエッセイ

2020年12月15日
天翔ける駿馬

今年も新語・流行語大賞が発表されました。
毎年このニュースを耳にすると、いよいよ1年も締めくくりに近づいて来ていると焦りも感じつつ、その年を振返りしみじみした気持ちになります。
なんと言っても今年はコロナに振り回された1年でした。

大賞候補をみても、コロナに関連する言葉が多く見られますが、そんな中、漫画もアニメも大人気の「鬼滅の刃」がノミネートされています。
現在映画公開中の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、大ヒットしたディズニー映画『アナと雪の女王』、『タイタニック』などを抜いて、日本歴代2位の興行成績だとか。
このままいくと、19年前の『千と千尋の神隠し』の記録を超える勢いで、冬休みともなればさらなる動員が見込めることから、年明け早々にも1位になるのは必至のようです。
もしかしたら年内に達成するかもしれません。

旅行やレジャー、外食も行きにくくなりましたが、館内の人数は限られていますし、入場前には必ず検温され、上映中は会話することもほとんどないので、このご時世、映画館での映画鑑賞は残された数少ない息抜きのひとつ。
かくいう私も出不精にもかかわらず、この夏は2度映画館へ足を運びました。

1度目はゲキ×シネ 『ZIPANG PUNK 〜五右衛門ロックⅢ』です。
朝ドラ『エール』ではレコード会社のディレクター役でお馴染みの古田新太さん率いる「劇団☆新感線」の人気演目「五右衛門ロック」の第3弾公演の映像版で、2014年に映画館で上映されたもののリバイバルです。
舞台自体は2012年の越冬興行として、東京、大阪で全69公演かけられました。
当時も話題となった三浦春馬さん、蒼井優さんらを客演に迎え、アクションあり、笑いありのド派手で熱い、新感線らしい舞台です。
最後に追悼文が出るまでは、現実を忘れて、その痛快活劇の世界に浸って観ていました。
そう、それは7月に30歳という若さで急逝した俳優の三浦春馬さんを追悼したものでした。

2度目は『コンフィデンスマンJP プリンセス編』。
こちらは連続ドラマの映画シリーズ第2弾。
前作のロマンス編とは違い、あまり出番はないのですが、第1弾に引き続き出演した三浦春馬さん演じる詐欺師ジェシーも物語の展開に一役買っています。

どちらも愉快な作品ですが、上映終了後、館内が明るくなっても、しばらくは席を立つ人がいませんでした。
多くの人が複雑な思いで観ていたのでしょう。

私もすっかり春馬ロス状態で、前述の五右衛門ロックⅢの他に、昨夏放送された連続ドラマ『TWO WEEKS』など出演作品のDVDを購入して家で何度も観ています。
そうして、この5ヶ月近く、過去の映像やSNSなど何かしらの動画を見てから眠るという日々が続き、もはやそれは日課となりました。

そんな私が待ちに待った三浦春馬さん主演の映画が今月11日に全国公開されました。
今年没後135年になる五代友厚の半生を描いた『天外者(てんがらもん)』です。
五代はご存知、商都大阪の礎を築いた薩摩出身の実業家で、「天外者」とは、鹿児島の方言で「すさまじい才能の持ち主」という意味らしく、やはり五代が突き抜けたすごい人ということなのでしょう。

公開を前にチラシをもらおうと映画館へ行くと、数々の作品が並ぶチラシの棚にはなく、カウンターに行って申し出てから受け渡すという形になっていました。
それだけ多くの人が詰め掛けたのでしょう。もしくは、ごっそり何枚も持って行ってしまう不届き者がいたのか。
いずれにせよ、その注目度が窺い知れます。

自ら命を絶ったということで拒否感を持たれる方も少なくないと思いますが、一方で、私のように生前の姿をたくさん見たいという人も多いようです。
大阪は「赤信号」点灯で出かけにくくはなってしまいましたが、万全の対策をして、天外者を観に行こうと思っています。
おうち時間に映画鑑賞もいいですが、映画館での迫力にはやはりかないません。

大きなスクリーンで観たいと思う人は多いようで、五右衛門ロックⅢは、ドリパス(リクエストの多い映画を映画館でかけるシステム)で、全国各地で再上映が決まっています。
大阪では年明けに再上映されるようです。
そのほかにも、いくつか過去の作品があちこちで再上映されています。
また、主演映画は今回の天外者で最後ですが、来年には、春と夏に1本ずつ出演映画の公開が予定されています。
年を越してもなお春馬熱は収まりません。

昭和芸能デスク