新型コロナウイルス感染症に関する給付金等の税務上の取り扱いについて
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新型コロナウイルス感染症に関する給付金として、様々なものがありますが、今回は当該収入に対する課税関係をまとめます。

1.持続化給付金
(1)課税関係
持続化給付金は所得税等の課税対象とされています。ただし、主たる収入をどの所得区分で申告しているかにより、その取り扱いが異なります。②③の場合は(2)で詳述します。 
①主たる収入を事業所得として申告している場合 → 事業所得
②主たる収入を雑所得として申告している場合  → 雑所得
③主たる収入を給与所得として申告している場合 → 一時所得

(2)持続化給付金の支給対象者の範囲の拡大
持続化給付金は、令和2年5月から申請受付が始まりましたが、6月29日からはその支給対象者の範囲が拡大され、これまでは対象とされていなかった「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等」が新たに支給対象となりました。
その「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等」の主な要件は、下記のとおりです。
①雇用契約によらない業務委託契約等に基づく収入であって、雑所得・給与所得として計上されるものを主たる収入として得ており、今後も事業継続する意思があること
②令和2年の対象月の収入が昨年の月平均収入と比べて50%以上減少していること
③令和元年以前から、被雇用者又は被扶養者ではないこと

なお、所得税確定申告書「第一表」の「収入金額等」の「事業」欄に記載がある人は、「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等」としてではなく、「(通常の)個人事業者等」として申請することとされています。

2.地方独自の事業者向け給付金
(1)課税関係
国税庁の見解によれば、国や地方公共団体からの助成金については、個別の助成金の事実関係によって、課税関係を判断することとされています。
なお、非課税となる助成金は、以下のようなものとされています。
① 各種法令等によって非課税所得とすることが定められているもの
② 学資として支給される金品
③ 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金
休業協力金については、国税庁は「事業所得等に区分され、所得税の課税対象である」旨を公表しています。
新型コロナウイルス感染症関連の助成金等については、各自治体独自のものが多く見受けられるようになりました。その内容によっては、休業協力金等の支給対象外とされた事業所も受給できる可能性があります。

3.従業者向け休業支援金
(1)課税関係
従業者に直接給付される「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」は、所得税等は課税されません。

(2)制度の概要
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により企業が従業員を休業させているのに、その従業員が休業手当の支払を受けることができない場合の新たな給付制度として、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」制度が創設されました。
この制度では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、令和2年4月1日から9月30日までの間に事業主が休業させ、その休業させられている期間の全部又は一部について賃金の支払を受けることができなかった従業員に対し、休業前賃金の80%(月額上限33万円)を休業実績に応じて支給することとされています。
①対象企業
この支援金制度における企業とは、法令上の「中小企業事業主」をいいます。
具体的には、その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)を超えない事業主、及び、その常時雇用する従業員の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)を超えない事業主をいいます。
②対象従業員
雇用保険の被保険者である従業員が対象とされていますが、雇用保険の被保険者でない従業員に対しては、予算の範囲内で、同じ趣旨の給付金を支給することとされています。

4.特別定額給付金
(1)課税関係
国から全国民に支給される1人10万円の特別定額給付金は、課税されません。