家庭裁判所はどのように後見人を選ぶのか?

 森田 豪

2014年02月15日

<ポイント>
◆親族や代理人弁護士が自薦で後見人に就任できるとはかぎらない
◆家裁が選ぶ後見人は利害関係のない第三者的立場の専門家
◆後見人の人選に不満があっても申立てを取下げることはできない

成年後見制度は、広い意味では、契約による任意後見、家庭裁判所の審判による法定後見の総称です。ご本人の判断能力の程度により法定後見はさらに成年後見(狭義)、保佐、補助に分かれます。
いずれもご本人のために身上監護、財産管理を行う後見人が選任されます。
件数でいえば親族が後見人になることが多数ですが、親族関係にない専門職が後見人になるケースがあります。
親族のなかに適任者がいない、親族間で対立がある、多額の財産がある、後見業務に専門知識を要するといった場合では専門職が後見人に選任されます。
親族やその代理人弁護士がいわば自薦で後見人に就任することを希望した場合、家裁がこれを認めるとはかぎりません。誰を後見人にするかは家庭裁判所の裁量に委ねられています。大まかにいえば上記のような事情があるかどうかが分かれ目ですが、たとえばどの程度の財産を「多額」とするかなど各地の家庭裁判所ごとに運用が異なるため、後見申立てに際しては事前の確認が必要です。

注意しないといけないのは、いったん後見の申立てを行うと家裁の許可がないかぎり取下げができない点です。任意後見開始のための監督人選任申立てについても同様です。
これは昨年施行された家事事件手続法による新しいルールです。
以前は後見審判までは取下げが自由にできたため、家裁が後見人を選ぶことに不満がある場合、申立て自体を取り下げてしまうケースがみられました。
しかし、後見開始すべき場合にまで自由に取下げを認めてしまうとご本人の利益を損なう場合が出てくるため、新法では取下げを制限をすることとなったのです。
「後見人が気に入らないから」という理由では家裁は取下げを許可しません。

家裁が後見人の人選を行う場合、利害関係のない中立な専門職を選ぶことになります。
とくに東京や大阪といった都市部の裁判所では弁護士会など専門職団体と連携し、一定の研修を終えた後見人候補者のデータベースから人選を行います。
大阪家裁の運用では、利害関係のない弁護士を後見人に選任するべき場合、家裁から弁護士会に候補者推薦を依頼し、弁護士会は後見人候補者データベースからふさわしい弁護士を選び家裁に推薦します。
後見人候補者とされた弁護士は家裁に出向いて関係記録を閲覧し、事案によって調査官や裁判官と面談を行います。利害関係のチェックなどもふまえ候補者が後見人に就任することに支障ないということになれば後見開始の審判が出されます。

社会の高齢化と家族構成の変化から後見制度に対するニーズは高まっていますが、後見制度に関する法令の条文数は少なくごくシンプルなことしか定められていません。このため後見制度については実務上の工夫に委ねられているところが多く、具体的な運用はどんどん変化しています。
後見実務に携わる弁護士としても、日頃の研鑽を怠らないようにしないといけません。