住宅品質確保法について

 木ノ島 雄介

2016年10月01日

<ポイント>
◆品質の良い住宅を取得できるよう住宅性能表示制度が定められている
◆構造耐力上主要部分等の瑕疵担保責任について特例が設けられている
◆住宅紛争を速く解決するための処理体制が設けられている

日本銀行がマイナス金利政策を導入したことで住宅ローンの金利も下がり、さらにマイナス金利政策を進めるのか大きな関心が寄せられています。不動産取引に影響を与えているといわれていますが、ここでは住宅の建設請負や売買がなされるにあたり、いかにして住宅の品質を確保しようとしているのかについて述べてみたいと思います。

住宅の品質を確保するための主な法律は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(住宅品質確保法)です。
この法律では、①住宅の性能に関する表示の制度が定められ、②新築住宅の構造耐力上主要部分および雨水侵入防止部分の瑕疵担保責任について特別の定めがなされ、③住宅紛争を速く解決するための処理体制が設けられています。
構造耐力上主要部分とは、基礎、土台、柱、壁などで、雨水侵入防止部分とは、屋根、外壁、開口部の戸や枠などです(ほかにもあります。)。

①品質の良い住宅を安心して取得できるようにするために定められた住宅性能表示制度の内容は以下のとおりです。
まず、住宅の性能について表示の基準を定め(構造耐力、火災時の安全、遮音性、防犯性などの各分野)、住宅購入者などが住宅の性能を比べることができるようにしました。
次に、住宅の性能の評価が信頼できるものとなるよう、評価を客観的に行う第三者機関(指定住宅性能評価機関)を設けました。
さらに新築住宅において住宅性能評価書が交付されたときは、その評価書で表示された性能を有する住宅を建設する、または引き渡す契約をしたものとみなされます。住宅性能評価書に記載された内容が保証されるということです(請負人または売主が契約書で反対の意思を明らかにしているときは除きます。)。
施工会社または不動産会社から依頼を受けた評価機関は、設計段階や完成段階で検査を行い、住宅性能評価書を作成しますが、設計段階で作成されるのが、「設計住宅性能評価書」、完成段階で作成されるのが「建設住宅性能評価書」です。

②住宅取得者を保護するため、民法よりもさらに注文者や買主の保護が図られています。
新築住宅の建設工事の請負契約では、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、構造耐力上主要な部分や雨水浸入防止部分の瑕疵を担保する責任を負うとされています。
また、新築住宅の売買契約においても、売主は、買主に引き渡した時から10年間、構造耐力上主要な部分や雨水侵入防止部分の隠れた瑕疵について、担保する責任を負うとされています。
そしてこれらの特例と異なる特約で注文者、買主に不利なものの効力は否定され、売主に修補請求できる内容となっています。

③住宅に関する紛争は専門的な知識が必要で、解決まで時間がかかる傾向にあります。
しかし、住宅は生活の基盤であるため、時間がかかるとそれだけ生活は不安定となり、精神的にも大きな負担となります。そこで住宅紛争を速く解決できるよう、指定住宅紛争処理機関の制度が設けられています。具体的には全国の弁護士会が住宅紛争処理機関として指定されています(住宅紛争審査会)。
指定住宅紛争処理機関では、「建設住宅性能評価書」が交付された新築住宅、「現況検査・評価書」(住宅性能評価書の一種)が交付された中古住宅、住宅瑕疵担保履行法(紙面の都合上説明を省略させていただきます。)による住宅瑕疵担保責任保険が付された新築住宅についての紛争を取り扱うことになっています。