株主総会、ネットで投票がはじまる
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新聞報道によりますと、ソニー、日立製作所など有力企業が株主総会でインターネットによる投票制度を導入するということです。
インターネットを通じた投票により、個人株主の株主総会への参加を促し、ひいてはコーポレートガバナンスにも役立てたいというねらいがあるようです。

【書面投票制度】
しかし、今まで、個人株主は、わざわざ株主総会に出席しなければ株主として議案に賛否の投票ができなかったかというとそうではなく、従来から書面投票制度というものがあり、昭和58年1月以降の株主総会から採用されています。
なお、この制度は、商法に規定されているのではなく、大会社のみに適用される「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」に規定されています。
これは、読んで字のごとく、事前に会社に送付した書面によって(株主総会に出席しないで)議案に対する投票をするという制度です。
株主数が1000人以上の大会社において採用が義務付けられており、株主総会前に、株主に対して「議決権行使書」が送られてくることになっています。
この議決権行使書は、各議題、議案について賛成、反対の意思表示をすることができる形式になっています。
会社は、株主が議案の詳細な内容等を知らずに投票することのないように、議決権行使に関する参考書類が議決権行使書とともに総会招集通知に添付する必要があります。

【委任状】
書面投票制度と似て非なるものに委任状による投票があります。
株主は、代理人により株主総会で議決権を行使することができます(ただし、定款により株主以外の者を代理人とすることを認めないとしている会社が多いようです)。
このため、会社から株主に対して委任状の提出を勧誘することが広く行われています。
委任状による投票は会社の規模に関わらず行われますが、上場会社については議決権代理行使のためには、招集通知に委任状とともに議決権代理行使に関する参考書類が添付する必要があります。

【電子投票】
平成14年4月1日施行の「商法等の一部を改正する法律」により改正された商法第239条第2項及び同じく改正された株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第21条の3第6項により代理人によりもしくは自ら議決権を「電磁的方法」により行使することが認められました。
また、株主総会の招集通知も、株主の同意があれば、同じく「電磁的方法」により行うことが可能になりました。
すなわち、冒頭で述べたインターネットによる株主総会への参加が可能になったということです。
ただし、今まで委任状または議決権行使書による議決権行使をしなかった株主が、インターネットによるからといって積極的に議決権行使をするかどうか、また、秘密の保持、株主の同一性の確認等の問題もあり、今後の運用が注目されるところです。