2016年6月株主総会の留意事項

 池田 佳史

2016年03月15日

<ポイント>
◆内部統制システムの運用状況の概要と会計監査人報酬等の同意理由についての記載を
◆非社外役員候補者の選任理由の記載の検討を
◆社外取締役1名の会社は株主総会での質問に対する準備を

今年も多数の会社(特に6月総会会社。以下同会社を念頭に述べます)が定時株主総会の準備を意識するシーズンとなりました。
昨年(2015年)5月1日に改正会社法及び改正会社法施行規則等が施行されましたが、この改正に関する多くの事項については昨年6月の定時株主総会で対応済みになっているはずです。
たとえば、社外取締役の選任について、昨年6月の定時株主総会時点で社外取締役を選任していなかった会社の多くが同総会で社外取締役を選任し、それを前提に「社外取締役を置くことが相当でない理由」についても問題なく説明できたものと思います。
今年の株主総会では、昨年、経過措置のために対応の必要がなく未了となったものとコーポレートガバナンスコードを念頭においた準備が必要となります。

経過措置のために対応が未了となったものとして、内部統制システムの運用状況の概要と会計監査人の報酬等について監査役会等が同意した理由の事業報告への記載があります。
内部統制システムについての改正は昨年6月の株主総会で対応済みのはずです。(なお、拙稿「改正会社法と会社法施行規則案における内部統制制度の整備に注目」をご参照下さい。)
今年の総会ではこの改正会社法等に対応した内部統制システムの運用状況の概要を記載する必要があります。
すでに年間を通して取締役会や監査役会に内部統制システムの運用状況のモニタリングの内容が適時に報告されていることと思いますが、これが未了の会社は、すでに公表されている事業報告書の該当部分を参考にする等してモニタリングを急ぐ必要があります。
内部統制システムの運用状況の概要の記載方法としては、体制の整備についての決議内容と運用状況が項目レベルで一致することは求められていないため、一括して運用状況の概要を記載することも可能です。
また、改正会社法等では内部統制の運用状況に関する評価の記載は求められていませんが、記載することも可能であり検討すべきでしょう。
会計監査人の報酬等について監査役会等が同意した理由については、平成27年11月10日に日本監査役協会により公表された「会計監査人の評価及び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を参考にする必要があります。
なお、会計監査人の選任、不再任の議案の提出権が監査役会等に移りました。これにより、会計監査人を再任する場合には、実務上、監査役会等がその決定をすることになると思います。
多数の会社で会計監査人の再任がなされることと予想されますが、その理由が株主総会で質問される可能性はあり、監査役会等はその準備が必要になります。また、会計監査人の解任又は不再任の決定の方針についても同様に監査役会等が決定することが考えられ、株主総会での対応を準備しておく必要があります。

コーポレートガバナンスコードを念頭においた準備については、会社ごとに株主総会での質問に対する対応を重点的に準備する事項があると思いますが、何点か注意をすべき事項を指摘しておきます。
会社法等では社外役員については、その選任議案において社外役員候補者とした理由について記載することが求められていますが、非社外役員候補者については求められていません。
しかし、コーポレートガバナンスコード原則3-1(v)では非社外役員についても「個々の選任・指名についての説明」が求められており、参考書類に記載することの検討を含めて準備しておく必要があります。
また、昨年6月の総会で1名の社外取締役を選任した監査役会設置会社は多く、改正会社法としては対応済みになりますが、原則4-8では2名の社外取締役の選任を求めています。そのため、今年の株主総会後でも社外取締役が1名の会社は株主総会で説明を求められる可能性があります。会社法等で求められる「相当でない理由」の説明と同じではありませんが、これに対する準備も必要となります。
なお、招集通知発送に先立ちホームページ上で開示する会社もあり、先日の日経新聞(2016年3月3日)にもその旨の記事が載っていましたが、コーポレートガバナンスコード原則1-2(補充原則②)にも対応することになり検討すべきです。