債権法改正について(解除)

 吉本 達哉

2019年01月15日

<ポイント>
◆解除の要件として債務者の帰責事由が不要になった
◆催告解除の要件が追加された
◆無催告解除が認められる範囲が拡張された

2020年4月1日に施行される民法改正(いわゆる債権法改正)について説明します。今回取り上げるのは、契約解除に関する改正です。

1 債務者の帰責事由が不要になったこと
改正前民法では契約を解除するために、債務不履行について債務者に帰責事由があることが要件になると解されていました。特に債務が履行不能になった場合の解除については、この要件が明文で定められていました(改正前民法543条ただし書)。
民法改正により改正前民法543条ただし書の文言は削除され、契約を解除するための要件として債務者の帰責事由は不要とされました。解除に債務者の帰責性を要求することは、当事者を契約に拘束することが不当な場合に契約から当事者を離脱させるという解除の制度趣旨に反すると考えられたからです。

2 催告解除における要件の追加
当事者の一方がその債務を履行しない場合、その相手方は相当の期間を定めてその債務の履行を催告し、その期間内に履行がない場合には契約の解除をすることができます。これが催告解除です。
民法改正により、催告後相当な期間を経過した時点における「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」は解除をすることができないという要件が加えられました。この要件は、催告後相当な期間を経過した時点における債務の不履行が数量的に僅かである場合や付随的な債務の不履行にすぎない場合には解除をすることができないという判例法理を明文化したものです。

3 無催告解除が認められる範囲の拡張
民法改正により、債務者が債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したときには無催告解除を認める判例が明文化されました。具体的には、
(1)債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき
(2)債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき
に無催告解除が認められます。これまでの判例からすると、債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したと認められるためには、履行を拒絶する旨を口頭で1回表明した程度では足りないと思われます。書面によって履行拒絶の意思を強固に表示することや履行拒絶の意思を繰り返し表示することなどが必要になるでしょう。
また、民法改正により契約目的が達成できないことが明らかな場合に無催告解除を認める規定も設けられました。具体的には、債務者がその債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるときに無催告解除が認められます。