債権法改正について(売買契約その2)

 吉本 達哉

2019年10月01日

<ポイント>
◆契約内容不適合責任の効果については改正点が多い
◆買主の追完請求の規定が新設された
◆売買一般について買主の代金減額請求の規定が新設された

2020年4月1日に施行される民法改正(いわゆる債権法改正)について説明します。今回取り上げるのは、前稿に引き続き売買契約に関する改正のうち契約内容不適合責任(改正前の瑕疵担保責任)についてです。
本稿では、契約内容不適合責任の効果その他の改正点について解説します。

1 買主の追完請求権
買主は、売買契約により引き渡された目的物が契約の内容に適合しないとき、売主に対して目的物の修補、代替物の引き渡し、または、不足分の引き渡しによる履行の追完を請求することができると定められました。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課すものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができます。なお、契約内容不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、追完請求をすることができません。
本改正により特定物売買においても追完請求ができるようになりました。
また、追完の方法については原則的に買主が選択でき、例外的に売主が選択できる場合もあるというように追完請求のルールが明確になりました。
以上の追完請求に関する定めは任意規定なので契約書において変更することができます。

2 買主の代金減額請求権
買主は、相当な期間を定めて前記の追完請求をし、その期間内に追完がないときは売主に対して契約内容不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができると定められました。また、次のいずれかの場合には催告をすることなく代金の減額を請求することができます。
(1)履行の追完が不能であるとき
(2)売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
(3)特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、その時期が経過したとき
(4)上記のほか買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき
ただし、契約内容不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、代金減額請求をすることができません。
代金減額請求は改正前民法では数量指示売買などで限定的に認められているだけでしたが、売買一般について認められることになりました。
代金減額請求の効果については、債務不履行に基づく損害賠償請求の効果と事実上被る部分があります。しかし、代金減額請求は損害賠償請求と異なり、売主が、契約内容不適合が売主の責めに帰することのできない事由によるものであるという抗弁をすることができません。

次稿でも、契約内容不適合責任の効果その他の改正点について引き続き解説します。