「働き方改革」の解説 その3 同一労働同一賃金へ向けて(1)

 池野 由香里

2019年04月01日

<ポイント>
◆2020年4月1日から施行(中小企業は2021年4月1日から)
◆均等待遇規定を有期労働者にも、均衡待遇規定は明確化
◆待遇に関する説明義務を強化

2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されます。
前々回は、時間外労働の上限規制、前回は有給取得の義務化について解説しました。
今回は、有期雇用労働者とパートタイム労働者(短時間労働者)に対する同一賃金同一労働へ向けての法整備について解説します。

正社員と、パートタイム労働者(短時間労働者)や有期雇用労働者との待遇差が社会問題となっていることから、法は、これまでも一定の場合に不合理な待遇差を儲けることを禁じてきましたが、今般の改正により、その判断基準をさらに明確化するとともに、これまでパートタイム労働者のみに定められていた、差別的取り扱いの禁止の範囲を有期労働者にも拡大しました。
これらの改正によって、どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようになるとされています。
この法律の施行日2020年4月1日とされていますが、中小企業への適用は2021年4月1日とされています。

なお、有期雇用労働者とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者のことをいいます。
また、パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が同一の事業主(改正前は「事業主」ではなく「事業所」でしたが今般改正されました。)に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者のことをいいます。

パートタイム労働者・有期雇用労働者について、これまでは、①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情の相違を考慮して不合理な待遇差を禁止していました。(この規程を「均衡待遇規定」といいます。)
今回の改正後は、短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の上記3つの考慮要素(①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲、③その他の事情)のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない、とされました。
そして、不合理と認められるかどうかの判断方法のポイントは、ガイドラインの策定などによって、規定の解釈を明確に示すことになりました。
つまり、待遇の相違の不合理性について、これまでより明確に判断されることになります。
これを、均衡待遇規定の明確化といいます。

そして、①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は差別的取り扱いが禁止される、いわゆる「均等待遇規定」については、これまでは有期労働者について規定がなかったところ、今般の改正で有期雇用労働者も対象となることとなりました。
なお、「均等待遇」は、労働条件その他の待遇について差別的な取扱いをしてはならない、という考え方であり、一方、「均衡待遇」は、就業の実態等に違いがあることを前提としてその違いに応じて待遇の違いがバランスのとれたものとなっていることを求める考え方です。
今回の改正やこれに基づくガイドライン(現段階では「案」)もそれぞれの待遇について、その性質・目的に当たる事情が通常の労働者とパート・有期雇用労働者とで同じならば待遇を同じくしなければならず(均等待遇)、違いがある場合には、その違いに応じた待遇とし、不合理な相違を儲けてはならない(均衡待遇)という基本的な考え方によっているものであるといわれています。

ガイドラインについては、現在「同一労働同一賃金ガイドライン案」が作成されていますが、国会審議の内容などを踏まえて今後最終的に確定する予定です。

また、現行法ではパートタイム労働者対して、雇入れ時の待遇の内容等に関する説明義務や、待遇の決定等にあたっての考慮事項に関する説明義務が、事業主に課せられています。
今般の改正で、これらの説明義務の対象に有期雇用労働者を加えました。
さらに、事業主に対し、パートタイム労働者・有期雇用労働者の求めに応じ、待遇差の内容やその理由について説明する義務を新設しています。

事業主は、今後、これらの改正内容をふまえて従業員の処遇を考える必要がある点に注意が必要です。