管理組合法人について 4
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<ポイント>
◆監事の主な職務は管理組合法人の財産状況や理事の業務執行の監査
◆監事の任期は原則2年であるが規約で別段(3年以内)の期間を定められる
◆監事が退任したときは理事と同じく原則として職務継続義務や仮監事の制度がある

「管理組合法人について2」「管理組合法人について3」では、管理組合法人の理事のお話をしました。
今回は、管理組合法人の監事についてお話します。
管理組合法人には、監事を置かなければなりません。監事の選任・解任は、規約に別段の定めがない限り、集会の普通決議によっておこなわれます。
監事の職務内容は、区分所有法の条文をみると分かりやすいです。以下の内容です。
(1) 管理組合法人の財産の状況を監査すること
(2) 理事の業務の執行の状況を監査すること
(3) 財産の状況または業務の執行について、法令・規約の違反や著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告すること
(4) 集会に報告するために必要があるときは、集会を招集すること

このように監事は、理事の業務執行を監査することを重要な職務とするので、理事や、理事の監督下に置かれる管理組合法人の使用人を兼ねることができません。
また、監事に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、上述したとおり集会の普通決議により解任できますし、各区分所有者が解任を裁判所に請求できます。

監事の任期は、2年とされていますが、規約で別段の期間(ただし3年以内)を定めることもできます。
理事の任期も、同様に定められていますが、理事と監事の任期を異なるように規約で定めることもできます。
たとえば、理事の任期は2年とし、監事の任期は3年と規約で定めることも可能です。

また、監事が欠けたとき、または規約で定めた監事の員数が欠けたときは、任期の満了または辞任により退任した監事は、新たに選任された監事が就任するまで、なおその職務を行うとされています。理事が退任したときと同じですので、詳細は「管理組合法人について3」をご参照ください。

なお、監事が欠けたときに、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人等の請求により、仮監事を選任しなければなりません。

最後に、監事が管理組合法人を代表する場面についてお話します。
管理組合法人と理事との利益が相反する事項については監事が管理組合法人を代表します。利益相反事項の具体例としては、理事個人と管理組合法人との間で、または理事が経営する会社と管理組合法人との間で売買をおこなう場合などが挙げられます。
ただし、ここでいう理事とは、管理組合法人の代表権を有する理事のことであり、代表権のない理事は含まれないと解されています。代表権のない理事と取引するときは、通常どおり代表権のある理事が管理組合法人を代表すると解されています。
また、利益相反取引の相手方である〇〇理事に代表権があっても、ほかに代表権のある△△理事がいるときは、監事でなく、△△理事が管理組合法人を代表すると解されています。

参考になれば幸いです。