社外取締役制度の大幅な導入へ
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【商法改正法案の要綱案が決定】
法制審議会(法務大臣の諮問機関)の会社法部会は1月16日、商法改正要綱案を決めました。
今回決定された法律案要綱案では、大企業が複数の社外取締役を起用すること条件に監査役を廃止することを認めており、株式会社における企業統治(コーポレートガバナンス)の仕組みを大幅に変える内容となっています。
この要綱案については、今後法制審議会総会で審議が行われ、正式に法律案要綱として、法務大臣への答申が行われ、本年の通常国会への法案提出が行われる見通しです。
したがって、国会で商法が改正されるまでの間に、要綱案の内容が変更されることはあり得ますが、この要綱案自体重要な内容を含んでいますから、現段階の最新情報としてその概要をご紹介します。

【取締役会・監査役制度の大改正】
まず経済界の耳目を集めているのは、取締役会制度・監査役制度の大改正を目指している点です。
資本金5億円以上か負債が200億円以上の大企業が社外取締役を複数起用すれば、監査役制度の廃止を認めています。
つまり、取締役会の中に、取締役候補を選任する指名委員会、監査役の役割を担う監査委員会、取締役の報酬を決める報酬委員会の3委員会を設置することができ、各委員会は3人以上の委員によって構成され、その過半数は社外取締役としなければなりません。
会社がこのような委員会を設置した場合は監査役制度を廃止することができます。

【従来の制度と比較して】
これまでの商法は、企業の不祥事を防ぎ、会社経営が適正に行われるようにするための制度として、取締役会による代表取締役の監視、監査役による取締役の監視を重視してきました。
つまり、日常業務を除いて、会社の業務執行の方針を取締役会が決定し、代表取締役がその決定事項を執行するというのが商法の建前です。
同時に取締役会が代表取締役の行動を規正するものと考えられてきたわけです。
また、取締役会から独立した立場で取締役の行動を監視するのが監査役の職務です。
ところが、大企業において代表取締役は実質的にも会社経営のトップとして君臨しているため、他の取締役が監督機能を十分に働かせることができなかったこと、また監査役が十分な監査を行えなかったことが数々の不祥事を生んでいるとも言えます。
そこで、今回の要項案では、取締役会の中に、会社トップの影響を受けにくいであろう社外取締役を複数起用して指名・監査・報酬の3委員会を設け、より強力に代表取締役の業務執行の適正を図ろうとしているわけです。

【執行役に強大な権限】
一方で要綱案は、会社経営の円滑・スピードを確保するために、上記の各委員会を設けた場合には、業務執行部門としての「執行役」が新株や社債発行など幅広い業務に関して独自に決定することができるものとしています。
これまで株主総会で承認していた配当などの利益処分案を取締役会で承認できるようにもしています。
また、大企業で従来通り監査役制度を採っていても、社外取締役を一人でも起用すれば、主力工場などの譲渡や借入の決定など、従来取締役会の決議事項としていた事項について、取締役の一部が構成する「重要財産等委員会(仮称)」が決定することができるようにしています。

【今後の見通し】
社外取締役については、会社経営のチェック役として「設置を義務づけるべきだ。」と法制審議会委員の大学教授らが強力に主張しましたが、経済界から「経営の自由を奪う。会社の自治に任せるべきだ。」と反発を受けたため、今回の要綱案では義務づけには至っていません。
また、この要綱案のまま改正されたとしても、上記の指名・監査・報酬委員会や、重要財産等委員会は、会社経営の実権の重要な部分を社外取締役に任せるため、これらの制度を選択する企業は少数に留まると見られています。
ただ、経営の透明性・適正確保に積極的な企業に投資家の評価が集まれば、企業のあり方を変え、新制度導入の流れがでてくるとの意見も出されています。

【その他の改正】
なお、要綱案では、その他にも株主総会招集手続の簡素化、株券失効制度の創設、大企業についての連結決算書類の導入、資本減少制度の合理化など重要な改正案が打ち出されています。