消費税増税のポイント
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消費税増税法案が本年8月10日に成立し、平成26年4月から8%に、さらにその翌年10月から10%になることが決定しました。
そこで、ポイントを以下、整理してみます。
なお、当初提出の法案に盛り込まれていた所得税、相続贈与税関係の改正は、全て見送られています。

【消費税増税の内容】
1、消費税率の引上げ
消費税率が現行の5%(消費税4%、地方消費税1%)から、(1)平成26年4月1日から8%(消費税6.3%、地方消費税1.7%)、(2)平成27年10月1日から10%(消費税7.8%、地方消費税2.2%)と段階的に引き上げられます。
なお、増税予定時期の約半年前に、経済情勢を見極めて最終的に実施を判断することとされています。

2、消費税増税に伴い検討される事項
(1) 消費税増税後の住宅購入者の一時の税負担増加に対する平準化・緩和対策
(2) 医療機関等の高額の医療設備投資などに係る税負担増加に対する対策
(3) 低所得者層の負担率緩和のための給付付き税額控除制度や軽減税率の導入
(4) 簡易課税制度のみなし仕入率を実際の仕入率の水準に近づけるよう縮小

【付随した改正事項】
1、一定の新設子会社の免税点制度の特例の適用除外
従来は、親会社等が新たに資本金1千万円未満の子会社等を設立した場合、その子会社等は、原則として2事業年度は課税事業者にならずに済んでいました。
改正後は、課税売上高が5億円を超える親会社等(大規模会社)が設立した子会社等(親会社が50%超を直接・間接に保有)は、この免税点制度の特例を受けられません(図1参照)。
適用は、平成26年4月1日以後に設立される新設法人から。

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2、中間申告不要事業者の中間申告制度の創設
前期の確定消費税額が60万円以下(地方消費税含む)の事業者は中間申告が不要とされていますが、税率引上げを踏まえて、自主的に中間申告による納税を希望する事業者については、届出をすれば中間申告(半期)により納税できる制度が設けられます。
適用は、平成26年4月1日以後に開始する課税期間から。

3、建設請負工事契約などについての経過措置
建設請負工事契約や不動産などの賃貸借契約については、税率の改正日(平成26年4月1日または27年10月1日)前に契約が締結されていても、完成引渡しや貸付が税率の改正日後に行われる場合は、原則として新税率(8%または10%)が適用されます。
ただし、契約締結が一定の期間内などに行われた場合には、旧税率(5%または8%)を適用する経過措置が講じられます(図2参照)。
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【消費税増税への対応】
1、価格転嫁
一般的に、売上規模が小さいほど、消費税の転嫁ができない割合が高く、多くの中小企業にとって価格転嫁はなかなか難しいようです。
そうなると、収益と資金繰りが悪化します。
自社の請求形態が本体価格と消費税額を別々に表記(外税方式)している方が価格転嫁しやすい等改善余地がないか検討してみましょう。
2、運転資金
一般的には、売上代金の入金は仕入代金より後になります。
また、消費税の確定納付額も増加することから、運転資金の負担の増加が見込まれます。
売上アップ、コスト削減を図り、納税資金確保が必要です。
3、経理実務・価格表示
今回は短期間に2度の税率の引上げが行われ、レジのシステムや経理実務に混乱が予想されるので、早めに対応しましょう。
(1) 請求書発行やレジシステムの変更の準備
商品価格の表示変更とともに、レジの税率改訂の変更等が必要になりますので、対応を検討しておくべきでしょう。
(2) 財務会計等のシステム対応の確認
税率の改正日をまたぐ事業年度では、複数の税率が混在します。
財務会計等のシステムが対応できるか確認しておく必要があります。