有期雇用契約締結上の注意点
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<ポイント>
◆解雇権濫用法理が適用される場合あり
◆有期雇用契約におけるルールに注意
◆更新しない場合は契約書等で明確にすべき

有期雇用契約とは、1年とか、半年とかの期間を定めて労働者を雇用する契約です。
期間の定めのある労働契約ともいいます。
このような雇用契約の場合、期間が満了すれば当然に契約を終了させられると思いがちですが、有期雇用契約が何度も更新されている場合などは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となったとみなされることがあります。
このような場合には、期間の定めのない雇用契約と同様に、解雇権濫用法理が適用され、合理的な理由がないかぎりは雇用契約を終了すること(雇い止めといいます。)が法律上認められなくなります。

以下のようなケースでは解雇権濫用法理が適用され、ほとんどの事案で雇い止めは認められていません。
・業務内容が恒常的であり、更新手続きが形式的である事案
・雇用継続を期待させる使用者の言動が認められる事案
・同様の地位にある労働者について過去に雇い止めの例がほとんどない事案

一方、以下のようなケースでは、原則どおり契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するものとして、雇い止めの効力が認められています。
・業務内容が臨時的な場合や臨時社員など契約上の地位が臨時的な事案
・契約当事者が期間満了により契約関係が終了すると明確に認識している事案
・更新手続きが厳格に行われている事案
・同様の地位にある労働者について過去に雇い止めの例がある事案

また、以下のようなケースでは、会社側の経済的な事情による雇い止めについて、正社員の整理解雇の場合より判断基準をより緩やかにし、雇い止めをみとめた事案がかなり見られます。
・業務内容は恒常的であり、更新回数が多いが、業務内容が正社員と同一でない事案
・業務内容は恒常的であり、更新回数が多いが、同様の地位にある労働者について過去に雇い止めの例がある事案

では、有期雇用契約において雇い止めを行おうとする場合、どのような点に注意が必要でしょうか。
まず、法が求める手続きとして、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている場合には、少なくとも契約の期間が満了する30日前までにその予告をしなければなりません。
ただし、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示している場合には予告は不要です。
また、労働者が雇い止めの理由について証明書を要求した場合には、遅滞なくこれを交付しなければなりません。

なお、さかのぼりますが、契約締結時点において、その契約の更新の有無を明示し、契約更新をする場合があると明示した場合には、契約を更新する場合・しない場合の判断基準を明示しなければなりません。明示の方法は労働条件通知書などの文書によることが望ましいといえます。
すなわち、そもそも契約更新をしない場合には、あらかじめ契約締結時にそのことを明示すべきですし、更新する場合があるとしつつ更新しない場合には、当初の判断基準に照らしてその条件を満たしているかどうかを検討する必要があります。

また、不用意に解雇権濫用の法理が適用されるとみなされないように、以下の点にも注意が必要です。
・更新時期においては、漫然と更新するのではなく、厳格な更新手続きをとる。
・正社員と採用手続き、担当業務、労働時間などの取り扱いを区別する。
・可能であれば、雇い止めをする最終の契約期間に入る前に面談をして、次回の契約は更新しないことを明らかにする。
・雇用継続の期待を持たせるような言動を控える。