在宅勤務の費用負担
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新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務が一般化してきました。
今回は、従業員に在宅勤務をさせた場合に発生する諸費用について、従業員に対する給与として課税されないためのポイントを確認します。

1.在宅勤務手当
在宅勤務に通常必要な費用を、実費精算等の方法で従業員に対して支給する場合には、給与として課税する必要はありませんが、手当として支給し使用しなかった場合でも返還する必要がないものを支給した場合には、給与として課税する必要があります。

2.事務用品等の支給
在宅勤務に必要な事務用品等を従業員に貸与する場合には、給与として課税する必要はありませんが、返却を要しない場合(所有権が従業員に移転する場合)には、現物給与として課税する必要があります。

3.費用の精算方法
(1)事務用品等の購入
①金銭を仮払した後、従業員が事務用品等を購入し、その領収書等を提出して精算する方法
②従業員が事務用品等を立替払いにより購入し、その領収書等を提出して精算する方法
(2)通信費・電気料金
従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算し、仮払又は立替払いにより精算する方法

4.通信費に係る業務使用部分の計算方法
(1)電話料金
通話明細等により業務のための通話に係る料金を確認する方法により計算します。
なお、基本使用料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。
また、通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、1カ月の通信料を該当月の日数で除して在宅勤務の日数を乗じた金額に1/2を乗じて算出する等合理的な方法で算出することも差し支えありません(「1/2」は、1日の時間のうち睡眠時間を8時間と仮定して残りの16時間のうち業務に従事した8時間の割合)。
(2)インターネット接続に係る通信料
基本使用料やデータ通信料などについては、上記(1)の方法により業務のために使用した部分を算出する等合理的に計算する必要があります。
なお、従業員本人が所有するスマートフォンの本体の購入代金や業務のために使用したと認められないオプション代等(本体の補償料や音楽・動画などのサブスクリプションの利用料等)を企業が負担した場合には、その負担した金額は従業員に対する給与として課税する必要があります。
5.電気料金に係る業務使用部分の計算方法
基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。例えば、1カ月の料金を、業務のために使用した部屋の床面積、使用した日数、時間(4.(1)に示す「1/2」等)を元に按分して計算した金額等により、業務使用部分とすることができます。

6.レンタルオフィス
自宅に在宅勤務をするスペースがない従業員などに対して、勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行なわせた場合、当該利用料の領収書等を提出して精算されるものについては、給与として課税する必要はありません。

7.食券の支給
従業員に食事の支給をする場合には、その従業員から実際に徴収している対価の額がその食事の価額の50%相当額以上であり、かつ、企業の負担額(食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額)が月額 3,500 円(税抜)を超えないときは、その従業員が食事の支給により受ける経済的利益はないもの考え、給与として課税する必要はありません。
在宅勤務における食券の支給においても、以下の点が満たされていれば、上記の食事の支給の考え方を準用することとされています。
①食券の利用は、従業員が在宅勤務を行う日において、当社が契約した特定の飲食店での飲食又は飲食料品の購入(持帰り)でのみ利用可能(勤務日以外の利用や、アルコール類、飲食料品以外のものへの利用は不可)とする。
②食券の利用は、当社の従業員本人の食事代のみについて利用可能であり、従業員の親族等に係る食事代への利用は不可とする。また、食券を他人へ譲渡することを禁止する。
③食券の利用は、1回あたりの上限を定め、実際に要した食事代金が、食券の額面に満たない場合であっても、釣銭を受け取ることはできない。
④毎月交付された食券の未使用分については、翌月以降に繰り越して使用することができても、交付日から1年等の有効期限を設ける。