営業秘密の保護
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最近、社員による顧客名簿の横流しなど、企業の秘密情報が外部に漏れるという話題が少なくありません。
「不正競争防止法」にはこのような「営業秘密の保護」に関する規定が設けられています。
この法律が保護の対象としている「営業秘密」であれば、それを不正利用しようとする者に対し、その行為の差止めを求めることができます。また、事後的に損害賠償請求をすることもできます。さらに、悪質な場合は(平成16年1月1日施行の改正法により)その行為者に刑事罰が加えられることもあります。
ところで、不正競争防止法によって保護の対象となる秘密情報とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と規定されています。
まず、営業秘密は、客観的に、「秘密として管理されている」ことが必要です。例えば、その情報にアクセスできる者が制限されているとか、その情報が営業秘密であることがわかるようになっている、などの措置が必要です。
また、社員の秘密保持義務を明確にするため、社内規則を整備したり、個別の誓約書を提出させるなども重要なことです。
次に、「有用性」、つまり、その情報がその企業の事業活動に役に立つものでなければ、法律上保護されません。
さらに、「非公然性」、つまり、その情報が一部の関係者を除いては未だ一般的には知られていない状態にあることが必要です。
以上の要件に合致する「営業秘密」のみが不正競争防止法によって法的に保護されます。単にその企業や経営者が、「外部に漏れては困る重要な情報である」と認識しているだけでは法的保護の対象とはならないので、注意を要します。