印紙税改正Q&A ~非課税の領収証は5万円未満に~
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平成25年度税制改正で印紙税法が改正され、平成26年4月1日以降に作成される「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲の拡大などが行われています。
今回は、この改正内容と印紙税で間違いやすい項目、よくある質問の中から重要なものをQ&A形式で整理してみます。

【金銭又は有価証券の受取書】
Q1
印紙税法別表第1にある第17号文書はどのように改正されたのですか。


従来、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていましたが、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされました(図表1参照)。

【不動産譲渡契約書等の印紙税率の引下げ】
Q2
不動産の譲渡に関する契約書等の特例はどうなりましたか。


不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の特例税率について、適用期限が平成30年3月31日まで5年延長され、税率が軽減されます(図表2参照)。
適用は、平成26年4月1日以降に作成される文書からとなっています。

【よくある質問】
Q3
消費税の金額を含めて印紙税額を判断するのですか。


消費税および地方消費税の金額(消費税額等)が区分記載されている場合または税込価格および税抜価格が記載されていることにより、その取引にあたって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等の金額は、印紙税の記載金額に含めないこととされています。
ただし、この取扱いの適用がある課税文書は、(1)第1号文書(不動産の譲渡等の契約書)、(2)第2号文書(請負契約書)、(3)第17号文書(金銭等受取書)の3つに限られています。

Q4
第17号文書で非課税とされている「営業に関しない受取書」とは、何ですか。


営業というのは、一般に営利を目的として同種の行為を反復継続して行うこととされており、株式会社などの営利法人の行為は、原則として営業になります。
個人の場合、「商人」としての行為は営業になり、事業を離れた私的日常生活に関するものは、営業になりません。

Q5
印紙税を納めていなかった場合は、どうなりますか。


印紙税の納付は、通常、作成した課税文書に所定の額面の収入印紙を貼付し、印章または署名で消印することによって行いますが、収入印紙を貼らなかった場合は、その印紙税の3倍に相当する金額が過怠税として徴収されます。
ただし、調査前に自主的に不納付を申し出れば、1.1倍に軽減されます。
また、消印しなかった場合にも印紙の額面に相当する金額が過怠税として徴収されますので、ご注意ください。
なお、過怠税は、全額が法人税の損金や所得税の必要経費に算入できません。

Q6
申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱いは、どう考えたらよいのですか。


契約とは、申込みとその申込みに対する承諾によって成立するものですから、契約の申込事実を証明する目的で作成される単なる申込書、注文書、依頼書等(申込書等)は、通常、課税対象になりません。
しかし、例え申込書等と表示された文書であっても、その記載内容によっては、契約の成立等を証する文書、すなわち、契約書になるものがあります。
また、契約の成立等を証明する目的で作成される文書は当然に契約書に該当しますが、実務上、申込書等と表示された文書が契約書に該当するかどうかの判断は、なかなか困難です。
ちなみに、以下のものは、一般的に契約書に該当するものとして取り扱われています。
(1) 契約当事者の間の基本契約書、規約または約款等に基づく申込みであることが記載されていて、一方の申込みにより自動的に契約が成立することとなっている場合における申込書等(ただし、契約の相手方当事者が別に請書等契約の成立を証明する文書を作成することが記載されているものは除かれます)。
(2) 見積書その他の契約の相手方当事者の作成した文書等に基づく申込みであることが記載されている申込書等(ただし、契約の相手方当事者が別に請書等契約の成立を証明する文書を作成することが記載されているものは除かれます)。
(3) 契約当事者双方の署名または押印があるもの