マンション標準管理規約と敷地・共用部分等の用法について(2)
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<ポイント>
◆同規約では駐車場を使用できる者を区分所有者に限定している
◆駐車場に空き区画が生じている場合には、修繕積立金不足対策などのために、規約を変更して区分所有者以外の者に貸し出すことも考えられる
◆区分所有者以外の者に有償で駐車場を使用させる際の税務上の取扱いについては国税庁のHPが参考になる

前回は、マンション標準管理規約における敷地・共用部分等の用法についての一般的な考え方やバルコニー等の専用使用権について説明しました。
今回は、「駐車場の使用」について説明したいと思います。

マンション標準管理規約(単棟型)では、駐車場の使用について、
1 管理組合は、駐車場を特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができること
2 駐車場使用者は管理組合に駐車場使用料を納入しなければならないこと
3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡または貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失うこと
が定められています。

そのうえで、標準管理規約(単棟型)に添付のコメントも書かれているとおり、この「駐車場の使用」についての規定は、マンションの住戸数に比べて駐車場の収容台数が不足していて駐車場の利用希望者(空き待ち)が多い場合を前提としています。ですので、あくまでも駐車場を使用できる者は区分所有者に限られ、専有部分を借りている者(部屋の賃借人など)に使用させることは想定していません。
もっとも、近時、駐車場の需要が減少しており、空き区画が生じている場合もあります。標準管理規約(単棟型)では、駐車場収入は駐車場の管理に必要な費用に充てられるほか、修繕積立金として積み立てられる旨定められているので、空き区画が生じている場合には、修繕積立金不足への対策などのために、規約を変更して区分所有者以外の者に使用料を徴収して使用させることも考えられます。
このように区分所有者以外の者に有償で使用させる場合、税務上全てが収益事業として課税されるケースもありますが、国税庁は、区分所有者を優先する条件を設定している等のケースでは、外部貸しのみが課税対象となり区分所有者が支払う使用料は共済事業として非課税とする旨の見解を公表しています。
詳細については次のURL(マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)|国税庁)をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm

区分所有者が使用を希望しない場合であっても、区分所有者以外の者を対象として積極的には募集していなかったが、区分所有者以外の者からの申出に応じて区分所有者の使用の妨げにならない範囲でごく短期的に貸し出すにとどめたような場合には、全体として収益事業とならず非課税である旨の見解も示されています。

ほかにも駐車場使用について説明することがありますが、次回にしたいと思います。