社用車と従業員の交通事故の責任
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<ポイント>
◆会社所有の自動車を従業員に運転させて事故が起これば会社にも責任
◆休日に従業員が社用車を利用しての事故でも責任を問われるリスクあり
◆自動車のカギの管理は厳重に!!

皆さんの会社で自動車を所有している場合に、その自動車で従業員が事故を起こして誰かにケガをさせるなどした場合、どういう責任が会社に生じるでしょう。

まずは被用者の業務中の事故として使用者責任(民715条)が考えられますが、それ以外にも自動車損害賠償保障法の運行供用者責任があり得ます(自賠法3条)。これは「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」というものであり、一定の免責要件はありますが、非常にハードルが高いものとなっております。

ここで問題となるのは、「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)にあたるかどうかです。運行供用者とは自動車使用についての支配権(運行支配)とその使用により享受する利益(運行利益)の2つを兼ね備える者と言われています。従業員が仕事で社用車を用いている場合は容易に会社にこの「運行支配」と「運行利益」は認められるでしょう。

では、休日に従業員が私用で社用車を用いて事故を起こした場合はどうなるでしょうか。ケースにもよるのかもしれませんが、会社が社用車の私的利用を形式上は禁止していたとしても、事実上これを黙認していたり、カギの管理をずさんにして従業員が自由にカギを取って社用車を利用できる状態であったとしたら、会社には「運行支配」があったと評価される可能性は高いと思われます。この点、運行支配について最高裁判例は「自動車の運行を事実上支配、管理することができ、社会通念上自動車の運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場にある場合」(最判S50.11.28)と述べたり、「自動車の運行に対して支配を及ぼすことのできる立場にあり、運行を支配制御すべき責任があると評価できる場合」(最判S52.12.22)と述べるなど、運行支配の概念を抽象的にとらえてその概念を拡大している傾向があります。「運行利益」に関しても、一般に客観的外形的に観察して利益が帰属する場合であればよく、現実的に利益が帰属する必要がないとされており、「従業員が会社の車を使っている」という外形からして、たとえそれが私用であったとしても会社に運行利益が帰属するという流れになりやすいと考えられます。
このように、社用車に関しての従業員運転による事故で会社に賠償責任が発生するリスクは十分にあります。自動車を利用させる従業員には常日頃から安全運転を心がけるように注意を払うとともに、仕事以外での社用車利用の禁止を徹底してカギも責任者が一般従業員に乱用されないように適切な管理をすることが必須であると言えます。