分譲マンションにおける外部専門家の活用について
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<ポイント>
◆標準規約上、マンション管理にあたり外部専門家に相談・助言・指導などを求めることができる
◆外部専門家が管理組合の運営に直接携わるパターンも考えられる

 

マンション標準管理規約(単棟型)コメントに書かれているとおり
『マンションの高経年化の進行等による管理の困難化』
『マンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化』
が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられます。今回は、どのような活用が考えられるのかを述べてみたいと思います。

マンション標準管理規約(単棟型)(以下たんに「標準規約」といいます)においても、管理組合は、マンション管理士など専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営等について相談・助言・指導などを求めることができる、と定められています。
そのうえで、標準規約コメント及びそれに続く別添1では、さらに進んで、外部専門家が管理組合の運営に直接携わる3つのパターンが、以下のとおり紹介・説明されています。

ア 【理事・監事】外部専門家型または【理事長】外部専門家型
(理事会役員に外部専門家を選任するパターン)
イ 外部管理者・理事会監督型
(外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会が外部管理者を監視するパターン)
ウ 外部管理者・総会監督型
(外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は設けないパターン)

標準規約は、理事会を中心とした管理組合の運営を想定しており、理事・監事を組合員(区分所有者)以外の者からも選任できるとした場合には、上記アのパターンとなるよう規定が整備されています。
標準規約コメント及びそれに続く別添1をもとに、アのパターンをさらに細かくみていくと
・理事長(=区分所有法上の管理者)は外部専門家、その他理事・監事は組合員
・理事長(=区分所有法上の管理者)は組合員、その他理事・監事の一部は外部専門家
・理事長は外部専門家、その他理事・監事の一部は外部専門家
のパターンが考えられます。
このようにアのパターンは、あくまでも従来どおり理事会を設置し、理事会役員に外部専門家を選任するものです。外部専門家が理事長(=区分所有法上の管理者)となることも想定されます。
ただし、外部専門家を含む役員の選任を含め、最終的な意思決定機関は総会であり、総会の役割が重要であることに変わりはありません。

「イ 外部管理者・理事会監督型」は、上述したとおり外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は監事的立場となり外部管理者を監視するパターンです。
監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任することも考えられます。ただし、外部管理者の選任を含め、最終的な意思決定機関は総会であり、総会の役割が重要であることに変わりはありません。

「ウ 外部管理者・総会監督型」は、上述したとおり外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は設けないパターンです。
区分所有者からは監事を選任して監視するとともに、 全区分所有者で構成する総会が監視するものであり、 総会の役割は重要です。
さらに、監査法人等の外部監査を義務づける、とされています。

参考になれば幸いです。