交通事故における人身損害賠償額
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<ポイント>
◆概ね算定基準は確立されている
◆各地域の裁判所で用いられる基準は若干異なる

交通事故でケガを負った際の損害賠償額について、いくらくらいになるかは加害者も被害者もともに興味が強いところと思います。そこで、今回は完治あるいは症状固定前までの損害項目について主なものを解説します。全国的に用いられる基準には毎年発行される「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤い本」)もありますが、ここでは、大阪地裁などで用いられる基準である大阪弁護士会交通事故委員会発行の「交通事故損害賠償額算定のしおり(令和2年3月版)」をもとに説明します。

1 治療費(入院費含む)
治療費(入院費含む)は、そのケガの内容・状態から必要かつ相当な範囲で認められます。よくある質問で、整骨院の施術費はどうかと聞かれますが、整骨院に通院する前に担当の医師が整骨院での施術を了解している場合に限り必要かつ相当な治療と認められますが、そうではない限りは認められませんので注意です(医師によっては整骨院の施術は認めないという方もいます)。この点は将来の争点になりかねないので、カルテに整骨院通院を了解した旨は記載してもらっておいた方がいいでしょう。
2 入院雑費
入院時には、ティッシュペーパーなどの日用品やテレビカード購入などの雑費がかかるでしょうが、1日当たり1500円の定額で認められることが多いです。つまり、実際にそれ以上かかっても賠償としてはもらえないということです。
3 通院交通費
通院時の交通費についても必要かつ相当な範囲で認められます。認められやすいのは公共交通機関(電車・バスなど)の利用の場合や自家用車利用のガソリン代(1kmあたり15円で往復分)です。質問が多いのはタクシー代ですが、これもそのケガの状態や医療機関までの公共交通機関の有無などを踏まえて必要かつ相当な範囲ということになり、かつ、利用分の領収書が必須です。
4 装具等の購入費
ケガをすることで車いすが必要になった、義足が必要となったなどの場合、その症状の内容や程度に応じて必要かつ相当な範囲でその購入費が認められます。また、装具等の耐用年数で買換えが必要になる場合は、その買換え時の費用も認められます(この部分は将来の賠償の前受けとなるので、中間利息控除があります)。
5 休業損害
ケガで仕事を休んで通院したために、給料が減った場合や有給休暇を利用した場合、職場にそれを証明してもらうことで休業損害を請求できます。自営業の場合、現実に収入が減ったことが前提ですが、事故直近の確定申告書を利用することで1日当たりの額を算出して損害額を算定することになります。
家事労働者(主婦)の場合、賃金センサスの学歴計・女性全年齢平均賃金を基礎にして算定します。なお、パート収入がある場合、パート収入の方が賃金センサスでの算定額よりも少ない場合は賃金センサスを基礎とします。
6 入通院慰謝料
入通院期間で概ね定額化されています。まず、そのケガが重傷(意識障害が相当期間継続した、骨折・臓器損傷の程度が重大であるか多発したなど負傷の程度が著しい場合)か否かで区別しますが、重傷でないケースで通院だけで3カ月程度であれば概ね72万円です。なお、むち打ち症で他覚所見がない場合など軽度の神経症状の場合は通常の金額から3分の2程度となります(先ほどの3カ月程度の通院が他覚所見のないむち打ちなら概ね48万円)。また、実通院日数の3.5倍が全通院期間の日数を下回る場合、実通院日数の3.5倍を基準として算定されることも多いです(ただし、骨折の経過観察など医師の指導で通院日数が少なくなっている場合は別途検討が必要)。

他にも損害項目となるものがありえますが、ケースに応じて検討すべき問題もあり得ますので、疑問を感じたら弁護士に相談することをお勧めします。