執筆者:昭和芸能デスク
2015年02月15日

少し前に話題になっていたハイレゾを試してみました。
ハイレゾとは、ハイレゾルーションオーディオ(High‐Resolution Audio)という、従来の音源CDよりも高解像度による音楽プレイヤーなどの音源のことです。
古いもの好きでアナログ人間の私が、なぜ、そんなハイテク機器に興味を持ったかというと、何を隠そう我らが往年のアイドル、中森明菜の広告を見たからです。

昨年末の紅白歌合戦でのニ十数年ぶりの復活も記憶に新しいところですが、昨年夏ごろから広告に『胸を焦がした中森明菜の歌声と共に青春時代をプレイバック』と銘打ってあったので、以前からずっと気になっていたものでした。

そんなふうに気になっていたところに紅白歌合戦の出演があり、さらに紅白出演の裏側に密着した番組もテレビで見たので、やはりここはひとつ久しぶりに中森明菜をじっくり聴きたいなあと思いました。
私のような人が他にもたくさんいるのか、デビュー当時からのシングル曲を収めたベストヒットアルバム配信後、ハイレゾランキングで1位を獲得し、一昨年の12月配信にも関わらず、今年に入ってもなおトップ10内にランキングされているようです。

昔懐かしい曲を聴くと、まさに青春時代が蘇りますが、人によって蘇る青春ソングはまちまちでしょう。
花の82年組といえば、アイドル黄金期。私などはど真ん中世代です。
豊作と言われたこの年デビューのアイドル達のなかでも、中森明菜は抜きん出ていました。
既存のアイドルの型にとらわれず、大人たちに操られない自己主張するアイドルといった感じを受けました。

衣装もいつも斬新で、シングル9枚目『十戒』だったか、腰のあたりでふわっと丸く盛り上がった黒のチュールワンピースに、靴を黒のブーティ(丈の短いブーツ)で合わせてきたのを見た時は、なんてカッコいいんだ!と感嘆しました。
当時、女性アイドルは大抵、先の丸いパンプスを履いて足首を見せていたからです。

歌だけでなく衣装、振付などアイドルという枠を超えて、いつも楽しませてくれていたなあ…と曲を聴きながら改めて思いました。
マツコ曰く『明菜は憑依型、女優が演じるように歌う』といっていましたが、まさしくそのとおりだなと思います。
曲ごとに表情を変えて歌っていて、密着ドキュメントを見ていてもその様子は変わっていないなと思いました。

そういえば、まだ中森明菜が10代の頃、トップアイドルに上り詰めた秘話として、いろんな女優のしぐさや歩き方など立ち居振る舞いを真似たり研究して取り入れたという記事を読んだことがあります。
確かそこに挙げられていた女優は、桃井かおり、小林麻美、田中裕子、浅野ゆう子と、当時アンニュイな雰囲気の色っぽさで人気の女優ばかりでした。

中森明菜といえば、やや低めのささやき声が印象的です。
彼女を象徴するあの特徴的な話し方は、こうした研究努力の成果なのかもしれません。
私は地声が大きく甲高いので、彼女のような声には本当に憧れました。
今でもそのしゃべり方は芸人など多くの人にものまねをされています。
我ら世代を含め、まだまだ中森明菜の歌を聴きたい、見たいと思う人たちは多くいるのではないでしょうか。

どうしても、若い頃の過去のスキャンダルが尾を引いて、彼女自身のイメージが暗くなってしまいがちなのが残念ですが、もう一度あの頃の輝きを取り戻してほしいものです。

あいにく、音の違いはさっぱりわかりませんでしたが、当時、明菜を見て歌を口ずさみ心躍った当時の高揚感が蘇り、ヘッドホンをつけている間、楽しいひとときを過ごせました。
ちなみに、ここで登場したマツコとは、私の友人でも知り合いでもなく、タレントのマツコ・デラックスのことです。