執筆者:昭和芸能デスク
2017年02月15日

昨年の流行語大賞のノミネートにはそんなに流行したのか?!といぶかしく思ったのも含めてたくさんありましたが、私でも知っている言葉で、思わずくすっと笑ってしまうのが『斎藤さんだぞ』のフレーズです。
愛嬌のある容姿のお笑い芸人『斎藤さん』が二枚目風にジャケットの前身頃をつかんで『斎藤さんだぞ!』という決め台詞が流行り、携帯電話会社のCMにも『斎藤さん』をモチーフにした手遊びゲームが登場しました。
周りに若い年ごろがいないので真偽のほどは確認できませんが、どうやら中高生の間ではこの『斎藤さんゲーム』なるものが流行っているようで、CMを見る限りなかなか楽しそうな遊びです。

『斉藤さん』といえば、ポピュラーな名字で、私の友人にも斉藤さんがいますし、有名人にも多くの斉藤さんがいます。
そんな中、最近気になったのが、昨年大河ドラマで家康の側室阿茶局を好演していた斉藤由貴です。

『斉藤さん』で、なぜ斉藤由貴が思い浮かんだかというと、その大河ドラマの宣伝で出ていたトーク番組を見ていて、思わず『さすが斉藤さん』と思ったからなのです。
大河ドラマの出演者がその番組に出演すると、主演俳優よりも大きな顔写真で紹介されていて、実は私も番組を見ていてずっと違和感がありました。
すると、すかさず『斉藤さん』。トークの最中、自分の写真が大きくなっているのを見て、番組の司会者に「これはおかしいですよ」と指摘したのです。
そう!ドラマの相関図は、やはり主演が大きくないと誰が主人公のドラマなのかピントがボケてしまいます。
司会の人は、番組中に駄目出しを食らって少々戸惑っていましたが、構わずとくとくと持論を展開する『斉藤さん』。

その姿を見て、20年以上前に見たあるドキュメント番組を思い起こしました。
それは斉藤さんがベトナムへ行ってベトちゃんドクちゃんと触れ合うという企画のもので、ドクちゃんと斉藤さんがチェスかオセロか何かのボードゲームであそんでいました。
いつも大人たちにかまわれているドクちゃんは、おそらくあまり叱られたりすることもなかったのでしょう。
斉藤さんに負けそうになったドクちゃんは「ずる」をしようとしました。
するとその時、またしても『斉藤さん』。きちんとドクちゃんをたしなめたのです。当時見ていて『おおっ!』と思ったのを覚えています。
それまで当然に行われてきたことや皆があまり触れないようにしてきたものに異を唱えるのは、なかなか容易いことではありませんが、きちんと「ずるはだめだよ」と言った姿に思わず『さすが斉藤さん』と唸ったのでした。
そんな20年前も今も変わらず自分の意見を貫く姿勢は、まさしく『斉藤さんだぞ』といっているような感じです。

彼女が20代のころは、真正面を向いていてもどこか遥か彼方を見ているような眼差しのふわふわしたアイドルでしたが、今ではすっかり母親役が板につき、奇しくも携帯電話会社のCMにとぼけた母親役でいい味を出しています。
デビュー当時の青春という名のカップラーメンのCMなど印象的でしたが、そのドキュメント番組のことを考えると、若い時から芯のしっかりした人だったのだなあと改めて思い出しました。
ドラマや映画の時は、女優。歌を歌っている時はアイドル歌手。その時々でしっかり本業の顔をしていたように感じます。

アイドルがドラマに出演することは多くあり、薬師丸ひろ子やさらに遡ると吉永小百合など歌を歌う女優さんもそれまで数多くいましたが、やはり『歌手がドラマに出ている』『女優が歌を歌っている』というイメージがぬぐえません。
また、10代のころアイドル歌手だった人が、大人になるに従って女優に転向するというのもよくあります。
アイドル歌手として歌を歌いながら、朝ドラや映画に主演するなど『アイドル女優』の立場を成立させたのは、斉藤さんからといっても過言ではないでしょう。
明菜ちゃん・聖子ちゃんときて、さて、どのアイドルについて語ろうかと思案していましたが、意表をついて『斉藤さん』にしてみました。