執筆者:昭和芸能デスク
2009年08月15日

この夏は梅雨明けがあやふやなまま、蒸し暑く過ごしにくい日が続いています。
肌を突き刺すような強い陽射しがあったかと思えば、その30分後には叩くように強い雨が降ったりと一日の間でも天気が目まぐるしく変わり大変です。
特に今年は各地方で、突風や竜巻、局地的に降る大雨など天候不順が相次ぎ、今後もこのように天気が不安定では体調も崩しやすい夏になりそうです。
ついつい食欲も減退して食べるのを控えがちですが、私は早くから夏バテにならないようたくさん食べることにしています。

日本では夏を乗り切るために、土用の丑の日に鰻を食べる風習がありますが、韓国ではそれにあたる風習を三伏(サンボク)といい、その日には鶏のお腹の中に高麗人参やナツメ、栗、松の実といった具と一緒にもち米を詰めて煮込んだ参鶏湯(サムゲタン)をよく食べます。
高麗人参には、抗ストレス作用の人参サポニンや神経のバランスを整えるジンセノサイド、そのほかアダプタゲンといった成分が含まれ、疲労回復、血圧の調整、腎臓など肝機能の作用にもよいといわれています。
南ヨーロッパが原産のナツメには、鉄分、カルシウム等の成分により、貧血予防や利尿作用、最近では花粉症予防にも効果があるということです。
栗はデンプン、ビタミンB1、ビタミンCなどの成分に加え、不飽和脂肪酸を豊富に含み、筋肉や骨を丈夫にする働きがあるそうです。
また松の実も栄養価が高く、心筋梗塞や脳卒中予防、老化防止の効能を備えているので、夏の暑い日に参鶏湯を食べるのは、夏バテ対策にうってつけというわけです。
留学中の下宿先では、料理上手のおばさんとおじさんが二人がかりで人数分の鶏を朝から準備して作ってくれました。お店で食べるのと変わりなく大変おいしかったです。

この三伏には初伏、中伏、末伏と3度の伏日(ポンナル)があり、3度とも参鶏湯を食べます。
一年のうち、夏至の後の3番目の庚の日(7月12日~7月22日頃。暦の十干のひとつである庚から始まる日)を初伏といい、初伏から10日目を中伏、立秋が過ぎて迎える庚の日を末伏といいます。
今年2009年の初伏は7月14日、10日後の7月24日が中伏、末伏は立秋(8月7日)を過ぎた8月13日でした。

もともとは、夏の滋養にと狗醤(ケジャン)や補身湯(ポシンタン)と呼ばれる犬鍋を食べていたようで、20年ほど前のオリンピック誘致の際に、諸外国の反応があまりよくなかったということもあり、犬料理を出すお店の取り締まりが厳しくなって多くのお店が撤去を余儀なくされたようです。
フランスのある有名な女優は、わざわざ韓国政府に犬を食べないようにという手紙を送ったそうで、やはり牛や豚と違って拒否反応を示す人は多いようです。
また、ペット志向が高まってきたこともあり、こうした内外の声に影響を受けて犬料理を出すお店はずいぶん減り、今では表通りで補身湯などのお店を見つけるのはなかなか難しい状況です。
そうはいっても長年食されてきた食べ物なので、一度は食べてみないとと思い、留学中にひと口試してみました。
味はぼたん鍋で食べる猪肉のようで、見た目やスープの味は、ほかのピリ辛の韓国鍋とさほど変わりませんでした。

犬の代わりに食べられるようになったのが、鶏肉を使った参鶏湯というわけですが、暑い夏に熱い参鶏湯を食べると夏を乗り切れるような気がします。
今年はすでに三伏の三日とも過ぎてしまいましたが、ぜひ機会があれば暑気払いに参鶏湯をおすすめします。