執筆者:イスラム建築マニア
2007年11月15日

9月下旬に友人と2人でロシアに行ってきました。ビザ取得のためにホテルは予め決めましたが、あとは全くの自由旅行です。
短い休暇なので、行き先はモスクワとサンクトペテルブルグを中心にその近郊都市のウラジーミル、スーズダリなどに絞りました。
モスクワは聖ワシリー聖堂(お菓子の家のようなカラフルな教会)やクレムリンがあるところで、サンクトペテルブルグはエルミタージュ美術館やエカテリーナ宮殿があるところです。
基本的に英語は全く通じず、観光地でも駅でも英語表記は全く無く、ロシア語オンリーの国です。
このロシアで摩訶不思議な体験をしました。

【服装のなぞ】
モスクワは毎日天候に恵まれとてもいい天気でした。朝夕は温度差があり冷えるものの、特に今年は暖かいのか、昼間の陽のあたるところでは、薄手の長袖1枚又は半袖でも大丈夫なくらい暖かく、夜もトレーナーや少し厚手のカーディガンをはおる程度で十分でした。
ところが、ロシアの人は皆、昼間でさえ毛糸のセーターを着て、さらにコートを着ているのです。革や綿入り、スキーウエアのようなものを!! 皆、まるで日本の真冬の格好です。
さらに、メトロ(地下鉄)や建物内は暖房が効いているのか、どこも長袖を着ると汗ばむほど暑いというのに誰一人コートを脱いで手に持つ人がいないのです。
「ウソやろ。」、「いくらなんでも、昼間、コートは要らんやろ。」と毎日2人でツッコミまくっていました。

ある日、モスクワから3時間くらいのところにあるウラジーミルに行こうと長距離バスに乗ったときのこと。
その日もいい天気でバスの中は日光がさし込み、まるで温室というより熱帯のようでした。バス内は30℃近くあったに違いありません。
それでも、ロシア人は、やはり毛糸のセーターを着て、さらにコートを着ているのです。3時間は乗りっぱなしだし、上の荷物棚もほとんど空いていたので、コートを脱いで棚に置けばいいのに誰一人コートを脱ぎません。
途中で運転手が30㎝四方くらいの天窓を開けました。やっと涼しい風が吹きこんできた、と私たちが喜んだ瞬間、ロシア人が「寒い。閉めて。」と言ったのです!(もちろんロシア語で)
椅子から転げ落ちそうになりました。
真冬はマイナス20℃にもなるところで暮らしているロシア人が、なぜこんなに寒さに弱いのかナゾです。

【ウラジーミルに行く人々のなぞ】
その日は朝からウラジーミルに行って軽く観光し、そこからさらにバスで40分ほどのスーズダリという田舎町に行って泊まる予定でした。
ガイドブックによるとモスクワからウラジーミルまでは市内のクルスク駅横のバスターミナルから約1時間おきにウラジーミル行きのバスが出ているとのことなので、朝からクルスク駅に向かいました。バスの時刻までは分からなかったのですが、たとえ出たところでも1時間待てば乗れるだろうと、朝10時頃バスターミナルに行きました。
そのころにはすっかりロシア語にも慣れていて、あっという間にウラジーミル行きの乗り場を見つけました。乗り場には大型バスがすでに停まっていて中は満席です。そしてバスの前には20メートル近い行列ができています。嫌な予感がしました。観光客っぽい人もいますが、普通に用事で出かけるような人も多かったので、まさかみんなウラジーミルに行く人?と並んでいる人に尋ねると、まさにそのとおりで、仕方なく列に並びました。
このときまでは、こんなに人が並んでいるのだから、きっと次々とバスが来るに違いない、と思っていました。
しかし、満席になっても時刻になるまでバスは決して発車せず、バスが出た後も次のバスは来ません。30分後くらいに次のバスが来ましたが、ドアが開くと同時に満席になり、またそこからしばらく発車せず時刻までは停まったままです。これを繰り返し、3台めのバスで何とか乗り込み、結局出発は11時半になったうえ、渋滞でウラジーミルまで5時間もかかってしましました。(夜8時くらいまで明るいので観光は十分可能でした。)
こんな調子だと帰りも大変に違いない、とウラジーミルでは、モスクワ行きの帰りのバスの場所と時刻を確かめました。ところが、バス乗り場はガランとしていて、どうもモスクワ行きのバスを待っているらしい人がいないのです。不思議に思いましたがそのままスーズダリに向かいました。スーズダリ行きのバスも満員で、さらに渋滞で40分のところが1時間半かかりました。

翌日スーズダリを観光して、また同じルートでモスクワに戻ることになるのですが、帰りも満員で渋滞ではないかと心配していました。
スーズダリのバスターミナルには、ウラジーミル行きのバスのほか、ウラジーミルを経由してそのままモスクワまで行くバスもちょうどありました。なぜかどちらもガラガラです。私たちはモスクワ行きに乗りましたが、半分くらい席が空いていました。しかも昨日とはうって変わって35分くらいでウラジーミルまで着き、ウラジーミルから乗り込む人もいないまま、あっという間にモスクワに着いてしまいました。
別に前日ウラジーミルで祭りやイベントがあったわけでもありません。
クルスク駅でのあの行列は何だったのかと思うほど、帰りがガラガラなのにも驚きましたが、それよりもウラジーミルに行った人はどうなったのか不思議でなりません。
なぜ行く人の人数と帰る人の人数が全く違うのか?みんな何処へ行ったのか?今でもナゾです。

他にもナゾなことはいくつもありましたが、今日はこのへんで。