執筆者:イスラム建築マニア
2006年11月15日

習い事は大好きである。
もし、仕事をしなくてもいいくらいお金持ちなら毎日習い事をして暮らしていたいくらいである。
月曜はスペイン語とベリーダンス、火曜はジャズピアノとスイミング、水曜は英会話とヨガ・・・と。
現実はそうはいかず、時間と月謝を考えると厳選して1つか2つ習うのがやっとである。
というわけで、厳選した結果、今は週に1回とんぼ玉作りを習っている。
法律事務所の事務職員の仕事はクリエイティブとはほど遠い。自分の発想、独創を持ち込む余地はほとんどない。そういう仕事をし続けていると「ものを作りたい!」「自分のアイデアを形にしたい!」という欲求がわいてくる。もともと物をつくるのは好きで子供のころは図工や家庭科が得意だったものだ。

1つの作品を作るのに何日もかかるもの(例えば編み物など)は、飽き性で持久力のない私には返って苦痛になるが、とんぼ玉は凝ったものでもせいぜい1日でできるところが私向きである。お手軽にものを作りたい欲求を満たしてくれるところが良い。
かつて陶芸を始めたこともあったが、ろくろは指の腹で成形しながら回すので爪を伸ばせない。これがストレスとなりやめてしまった。とんぼ玉はどんな格好でもできる。

とんぼ玉とは、長さ2センチほどの、紐などを通せる穴のあいたやや横長の、装飾を施したガラス製の玉のことである。
とんぼ玉を作っていると言うとよく「何に使うの?」と聞かれるが、玉そのものが完成品である。
ネックレスにすることもできるが、きれいな玉ができた!と自己満足してそれで終わりである。

とんぼ玉を作るときは予め全工程を頭の中で組み立て、必要なガラスや道具を回りに置いてから始める。
先端を熱した鉄芯に溶けたガラスを巻き取って玉を作り、その玉に模様を描いたり、金箔を溶かしたり、飾り用のパーツを埋め込んだりして次第に凝った模様に仕上げていくのであるが、その間、左手はずっと鉄芯を回して玉の形を保ち続ける。
一旦バーナーに火をつけ作りかけると、少しでも回す手が止まればガラスは垂れて形が崩れるし、右手で模様を入れる作業に気をとられて左手が火から離れるとガラスはすぐに冷え、次に火に近づけると割れてしまう。
途中で「あっ、あれが足りない!」と思っても、身動きがとれないので、最初の全工程の読みは大事で、偏頭痛持ちの私は予め頭痛薬や水まで手の届く範囲に置いてから始める。
作っている間は、常に左手と右手の両方を気にしながら左右の手で違う仕事をする。右脳と左脳のすべてを使っている感じがして気持ちがいい。
最初は慣れない左手で鉄芯を平行に保つのが大変であったが、いつの間にか右手よりやりやすくなっている。気が付けば、左手と右手で同時に別の作業ができるようになっている。

集中力の持続する時間内で、楽しい、作りたいと思っていられる時間だけ作れ、脳の運動になり、手先を使うのでボケ防止にもなる。
習いかけて2年以上たつが、いまだに作るのが楽しい。
飽き性で、健康マニアで、ものを作りたい私にとって、どうもぴったりの趣味に出会ったようである。