執筆者:昭和芸能デスク
2022年12月15日

師走の声を聞くと何かと特番が増えて、テレビっ子の私は「どの番組を観ようか」、「どれを録画しようか」と毎朝新聞のテレビ欄をチェックするのに余念がありません。
殊、音楽番組は長時間にわたり放送されることが多くなり、たくさんのアーティストが次々と登場するので、各出演者のタイムテーブルチェックは必須です。
普段あまりテレビに出ない歌手がバラエティ番組にも出たり、懐かしい顔が揃ったりもした今年、改めて振り返るとキリのいい「周年」を迎えたアーティストが多い年だなと感じました。

ドラマ主演など早くから活躍していましたが、CDデビューは1997年と、今年25周年を迎えたKinKi Kids。路上ライブから人気が出てメジャーデビューを果たした、ゆずも同年デビューです。
1992年デビューのMr.Childrenは、ちょうど今年30周年。5月に行われた大阪でのアニバーサリーライブには、私も2日間行ってきました。
ソロデビュー35周年の工藤静香さんや森高千里さんらは1987年デビュー。
アイドル豊作の年といわれた1982年は、中森明菜さんらを筆頭に、まさしく「花の82年組」と呼ばれて歌謡史を彩ったたくさんのアイドルがデビュー。それぞれ40周年を迎えています。令和に入り、昭和レトロブームでこの時期の歌手や曲が再注目されているようです。
今年の春まで放送されていた朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で変わらぬ熱い歌声を披露していた世良公則さんは1977年デビューの45周年。
そして50周年ともなると、アリス、五輪真弓さん、郷ひろみさん、松任谷由実さん、矢沢永吉さんと錚々たる顔ぶれです。

そんな中、なんといってもユーミンこと松任谷由実さんは1970年代、80年代、90年代、2000年代、10年代、20年代と6年代で、それぞれ週間売上アルバムランキング1位を獲得したというオリコン史上初の快挙を成し遂げています。
折しも、この秋、ラジオ民放99局は『日本中、ユーミンに包まれたなら』と銘打ってキャンペーンをしていました。テレビにあまり出ないユーミンですが、以前ここで触れたラジオドラマ『あ、安部礼司』は、ユーミンが約17年間パーソナリティを務めた『サウンドアドベンチャー』の後継番組で、私もこのラジオドラマが始まる前は、日曜の黄昏時といえば、ユーミンの曲で癒され、達観したトークを聴いて育ったユーミンのラジオリスナーでした。自分の人生と照らし合わせてみても、どの時期にもユーミンの歌があり、ユーミンに包まれていました。こんなに長く6つの年代にわたって活躍しているユーミンの偉業にただただ感嘆せずにはいられません。

私がいくつになったかはさておき、年齢を重ねていくほど、続けていくことの難しさを痛感し、その大変さが年を追うごとに身に沁みます。
ここ数年にわたるコロナ禍はもちろん、地震や洪水といった災害など自分ではどうしようもないことに見舞われることもありますし、人生は兎角、儘ならないものです。
一口に「○周年」といっても、そこに至るまでにはいろんなことがあり、それらを乗り越えて「○周年」があると思うと、たとえそれが5周年でもすごいことだなと改めて思います。

何事も継続するには、気力も体力も必要で、それを維持するのも並大抵ではありません。
また自分だけ意欲があっても、そう易々とは続けられないのが世の常で、やはり、いろんな人の支えや協力があってこそ。また、その協力を得るために日々努力の積み重ねです。だからこそ、長く続けているということは、周りから認知してもらえたり、信頼を得ることに繋がるのでしょう。
現実は続けたくても続かないことがままありますが、せめて少しでも続けてきた人の労苦を思いやり、「周年」を迎えたことに惜しみなく賛辞が贈られる自分でありたいと思います。