執筆者:カルメン
2018年02月15日

東海道新幹線に乗るときの楽しみは、何と言っても富士山に会えることです。
出張でよく新幹線を利用する息子は、富士山が見えてもそんなに感激しないし、いつも寝ているかなとのこと。
わたしは普段は車ばかりで他の乗り物に乗る機会が少ないので、たまの新幹線利用時は寝る間も惜しんでずっと車窓からの眺めを楽しんでいます。

昨年の11月。イタリアのカンツォーネ歌手ジリオラ・チンクェッティのコンサートに東京まで行きました。
その夜は東京の息子宅に泊まらず、いつもなら新幹線で通過する三島駅で下車し、駅前のホテルに宿泊しました。
初めて一人旅をしようと思い、知り合いの旅行会社の人に富士山が見えて、鰻が食べたいけれどどこがお奨めか尋ねました。
それなら三島がいいよと教えてもらい、早速宿泊先をネットで探してみると、露天風呂から富士山が見えるホテルがあることがわかりすぐ予約しました。

コンサートは16時会場、17時開演。朝8時過ぎの新大阪発の新幹線で、席はもちろん富士山が見える側のE席。
出発時大阪は晴れでしたが、今日は富士山が見えるかな。
琵琶湖の西にある山々の頂付近はもう雪で白くなっていました。
米原を過ぎた時、先ほどまで雨が降っていたのか虹がきれいに見えました。
名古屋を過ぎたころ、北の方角にやはり頂が白くなった大きな山を見つけました。御嶽山かな?
浜松手前では、遠くに中央アルプス?それとも南アルプス?が見えてきました。
こんな時手元に地図があったらどんなにか楽しかっただろうに。
いくつかのトンネルを過ぎ、いよいよ茶畑が現れてきました。
もうすぐだ!確か今から渡る川の三つ目の富士川からの眺めが最高だったはず。
ガラケーの携帯でシャッターチャンスを待ちました。
席のまわりの人には、あんなものでいい写真が撮れるはずもないのにと思われたはずですが・・・。
見えてきた~なんて大きくて美しいのだろう。
頂は白く裾野まではっきりと見えました。この感激を誰かに伝えたい一心で息子たちにメールしました。
富士山の麓で暮らす人たちが羨ましい限りです。
富士川を通過してからは、製紙工場の煙突があちこちに見えてきました。
三島駅通過後、手前の山が邪魔でだんだんと富士山も見えなくなりました。
富士山にも会えたことだし、満ち足りた気分で今度は本日のコンサートに想いを馳せたのでした。

その日はコンサートの時間まで横浜で時間を潰し、早めに会場に着きました。
会場前では係員に2列に並ぶよう言われ、隣に並んだ女性と今日始めての会話。
観客のほとんどが60歳以上のように見受けられました。
兄の影響で、わたしが小学生の時から歌っていた曲がアンコール曲でした。
その曲は観客も一緒にイタリア語で大合唱しました。(すごかった!)
コンサートの興奮も冷めやらず、いざ三島のホテルへ。
到着は22時を過ぎていたので、どこに富士山があるのか判らずじまい。

翌日は朝早く目が覚め、部屋のカーテンを開けたところ、前方に見えるは三島駅。
ということは右手を見ればあるはず、富士山が。
裾野は見えませんが、上の方がどっしりと大きく見えました。
♪頭を雲の上に出し~♪歌詞の通りでした。
昼ごはんに鰻屋を予約していましたが、それまで時間があるので箱根行のバスに乗り、
富士山が見えるスカイウォークという吊り橋に行くことにしました。
富士山は気まぐれなもので、早朝はきれいに見えていたのに雲ばかりで何も見えず仕舞いでした。
しかし、駿河湾が一望でき、遠くに富士宮市まで見渡すことはできました。
その後三島駅まで戻り、今度は鰻屋まで歩いていくことにしました。
途中富士山の噴火によって流れてきた溶岩が今も残る公園があり、湧水もいたるところから出ていました。
その湧き水で洗った鰻の味は格別でした。

さて、帰りの新幹線は指定席を予約していなかったので、少しでも早く帰阪できるよう静岡駅で乗り換えることにしました。
三島駅から静岡駅までの間はE席でしたが、相変わらずその姿は見せてくれないまま。
静岡駅のプラットホームからは建物が邪魔でもう見えません。
しかも乗り換えの新幹線は海側であるA席。ああもう富士山は見えないのか。
それでも、しつこく窓に顔をくっつけるようにしてずっと後方を見続けていました。
その時奇跡が起こったのです。
何と富士山が雲の上に頭を出してくれていました。
(最後に見送ってくれたのね。ありがとう!)

新幹線は東西方向に走っているはずなのに、なんで線路の北側の山が見えたの?
不思議に思っていたところ、富士山の写真を撮り続けている写真家が出演するテレビ番組で知りました。
東京からA席に乗り、わずか30秒間ほどですが、富士山を見られるところがあることを。
そこは静岡駅を過ぎ安倍川を越えたところにあり、線路が南北方向に走っているからだそうです。
そこから見える富士山のことを“左富士”というそうですが、気象状況ではなかなか見られないとのことでした。

初めての一人旅でしたが、良いこと尽くめで最高でした!