7月11日、12日と生國魂神社の夏祭りがありました。
私の住む谷町周辺は、氏子であり、毎年楽しみにしています。
この神社は、近松門左衛門の「曽根崎心中」の舞台となったところです。
大阪市内の夏祭りでは、日本3大祭りのひとつでもある天神祭りがあまりにも有名ですが、生國魂の祭りも戦前までは、天神祭り以上に盛大であったらしいのです。
地区ごとに担当が枕太鼓・獅子舞・神輿とあり、千数百人の行列が,大阪城の一角にある御旅所まで続いたそうです。
わが地区は、獅子舞担当です。
町も昔と違い、商売人も減り、祭りを盛りたてる人が少なくなりました。
その上、少子化、小学校高学年の塾通いなどが原因で子供たちの参加者も減少し、氏地を練り歩くのを取りやめになった年もありました。
しかし、最近では、地元の伝統文化を継承していくために、夏祭り運営委員会なるものを設け、校区の小中学校への呼びかけなど、もっと若い層の参加を増やそうと積極的に活動を行っています。
また、お囃子も大人(地元の長老中心)だけだったのを、2年前より、子どもたちに引き継いでもらおうと練習を積みかさね、中学生を中心に横笛・小太鼓で独特のリズムを奏でることができるようになりました。
今年の参加者は、150名も集まりました。
祭り初日は、ヨチヨチ歩きの子から、大学生まで、揃いの衣装を身にまとい、獅子頭を先頭に氏地を4時間余りも練り歩きます。
遠くから、お囃子が聞こえてくると、近所の人たちは、いそいそと家の外へ出て迎えます。
昔ながらの光景で、どこか懐かしい気分にさせてくれます。
わが息子達も、大阪に引越ししてきた年から、ずっと皆勤です。
今では、若頭として、大獅子の頭を巧みに操り、まるでそれが生きているように舞います。
親バカではありますが、自慢させてください。
巡行中、息子たちを見つけてはシャッターを押し続けること丸8年。
ただし、頭をかぶっているとあとで写真をみても誰だかわからないのが残念です。
さて、氏地を巡行する途中や、宮入した境内で、枕太鼓や神輿の各地域の人たちとエールの交換で「手打ち」をします。
その手順は、
1. 「打~ちましょ」 チョンチョン(手を打つ)
2. 「もひとつせェ」 チョンチョン
3. 「祝うて三度」 チョンチョン チョン
4. 「めでたいなァ」 チョンチョン
5. 「本決まりィ」 チョンチョン
天神祭りの船渡御の際も、すれ違った船と「手打ち」(大阪締め)を交わします。
「手打ち」は元々、生國魂が正調で5節あり、天神祭りでは、3節までの短いものです。
400年の伝統を誇る生國魂夏祭りの最高の見どころは、夜8時から境内で奉納される枕太鼓です。
願人と呼ばれる6人の青年が、台車に組まれた大きな太鼓を囲んで立ち、長い枕のようなもので体の後ろをささえ、太鼓を打ちます。
台車を引っ張る男衆が、一直線に猛スピードで走ったり、台車ごと横倒しやシーソーのように揺らしたりと、迫力満点です。
その間、上に乗る願人は太鼓を打ち続けるのです。
横倒しの時は、落ちないよう片手でロープを握りながら、必死で打ちます。
見物する方も、どきどきしながら見入ってしまいます。
以上、今回のエッセイでは、わが町の夏祭りを紹介させていただきましたが、来年の夏、ぜひ生國魂にお越しください。