事務職員のエッセイ

2020年02月15日
大好きなパン屋さん>(大)嫌いなレーズン

苦手な食べ物はありますか?
食物アレルギーをもっている方は命にかかわることもあるので、口にするものや触れるものには日々気を付けなければなりませんよね。
アレルギーではないのですが、苦手な食べ物で子どもの頃から変わらないのが、レーズンです。
私のレーズンデビューはおそらく給食の“ぶどうパン”。普通のぶどうは大好き。そのままでおいしいぶどうをなぜに干しておいしくないものにしまうのか、子ども心に憤慨しながら、これまた苦手な牛乳で流し込んでいました。

給食との別れが、レーズンとの別れ。中学校を卒業すると、給食がなくなり、レーズンからも卒業することができました。
安堵の日々が続くなか、時折レーズンに遭ってしまうときはありました。そういうときは苦手ですので結構ですと突き放したり、やむを得ないときは飲み込んだり、レーズンと対決する回数は給食のぶどうパンと対決する回数よりも格段に少なくなりました。つい最近までは。
事の発端はこの事務所に勤めるようになったことでした。通勤経路が変わり、とあるパン屋の最寄り駅が乗換駅になったのです。
そのパン屋は子どもの頃から好きなパン屋で、代替わりしても、私の美味しいパンの基準はそのお店です。 自宅裏にあったそのパン屋に行くことが週末のお決まりでしたが、隣駅に移転してからは足が遠のいてしまいました。けれども通勤経路が変わったことで、生活範囲が変わり、また“近所のパン屋”になり、仕事帰りの楽しみとなったのです。
帰宅途中、乗換時間に余裕があるときや疲れたときに買いにいくことが多く、新しい環境に慣れず気持ちが塞いでいるとき、あのパン屋さんで明日の朝のパンを買って帰ろう、と思うだけで心が軽くなりました。
そんな大好きなパン屋に行く時刻が閉店間際のときに、事態は発生します。それは会計後にそっと袋に入れてくれるおまけのパン。なぜか7割方レーズン入りのパン。そっと入れてくれるので、お店を出て袋のなかを確認するまではどのパンを入れてくれたのかは分かりません。そのお店にあるレーズン入りのパンは、そもそもレーズンが眼中に入らないので分かりませんが、1、2種類しかないはずなのですが・・・。
ご厚意でくださるので、レーズン苦手なんです、とは言えませんし、伝える気もありません。
翌日の朝食は、真っ先にレーズンパンを食べています。“嫌いなものから食べる派”です。
でも、本当は本当にレーズン苦手なんです。でもでも、大好きなパン屋であることに変わりはありません。

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