執筆者:カルメン
2021年11月15日

温かいお茶がほっとする季節になりました。
相変わらず時間に追われる毎日を送っていますが、家事の合間の一服は、スーッと疲れが取れます。

実家に帰ると母はよくお茶を淹れてくれました。
玉露用の小さな湯呑でしたから、一気に飲み干してしまいます。
二煎、三煎と心を込めて淹れてくれるお茶は本当に美味しかった。
懐かしい思い出です。
普段は玉露をゆったり味わうこともなく、専らマグカップにその時飲みたいものを並々と入れています。
おいしい和菓子があるときも黒文字でいただくことなく、手づかみで口に運ぶ始末です。
今は、「お行儀が悪い」と叱る人もなく、自由気ままにお茶の時間を楽しんでいます。

ところで、家には煎茶用と玉露用の急須しかなく、番茶用の大きな土瓶が欲しくてたまりませんでした。
幼いころの秋祭りの日、かめから織部焼の湯呑に取り分けてくれる甘酒のことをなぜか鮮明に覚えています。
子供心にも織部焼の焼き物が素敵に感じたのでしょうか。
数年前のことですが、岐阜県の土岐市で毎年開催される「陶器まつり」に行くことになりました。
当日、織部焼に会えるワクワク感と、大渋滞でのイライラ感が交錯する中、やっとのことで到着。
緑の釉の微妙な色の違いなどを見比べ、数ある中から念願の土瓶と湯呑を購入しました。
あの人込みは凄かったけれど、産地まで出向いた甲斐がありました。

それからというもの土瓶を使うため、どこかへ行くたび産地の番茶を買っています。
滋賀、京都、奈良とそれぞれ製法が違うので、味も違います。
また、先日は北海道土産の蝦夷ウコギをブレンドした珍しいお茶をいただきました。
各地の番茶をいろいろいただきましたが、なぜか期待していた味と違うのです。
その味というのは、徳島に里帰りしたときに、母が土産に持たせてくれた番茶のことです。
カフェインが少ないので、小さな子ども達にも安心だからと、麦茶代わりに飲ませていました。
スッキリして、苦みもなく美味しい番茶でした。
あの番茶の味が忘れられなくて、ネットで徳島のお茶屋さんを探すことに。
すぐに、地元のお茶屋さんを見つけました。
(なんで、もっと早くに気づかなかったのだろう)
ネットからでも購入できるのでしょうけれど、直接話が聞けたらと思い、電話をかけてみました。
電話口には懐かしい阿波弁のご主人の声。
あの忘れられない番茶のことをいろいろ訊ねました。

それは、阿波晩茶と言うそうで、徳島県南部の相生産で乳酸発酵茶だそうです。
一般的な番茶と区別するため、7月遅くに摘み取るため晩茶と呼ぶようになったとのこと。
最近では、その製造技術が重要無形民俗文化財に指定されるほど、貴重なお茶ということが分りました。
春に摘み取らず成長した一番茶を、7~8月に摘み取り、釜で茹でてから樽に漬け込み発酵させます。
その後天日干しをし、出荷は9月初旬からだそうです。
お茶屋さんにもちょうど新茶が入ったとのことで、宅配便で送ってもらうことにしました。

久しぶりの晩茶が届きました。
袋を開けると、落ち葉のような香りがしてきます。
大きな茶葉は茶色で、乾燥しているため触るとカサカサと音がします。
早速ひとつかみの茶葉を土瓶に入れ、熱湯を回し入れます。
昔と変わらず、黄金色のお茶はさわやかな酸味でスッキリした味わいでした。

さてと、今日は温かい阿波晩茶とかりんとうでちょっと一服しようかな。