2008年08月01日

私の趣味の一つに音楽があります。ジャンルはクラシック。聴くことと弾くことの両方を楽しんでいます。
聴くのは大部分がモーツァルト、事務所の自室ではインターネットの音楽配信サービスで途切れることなくモーツァルトが流れています。通勤のマイカーの車中ではCDから内蔵HDDに録音したモーツァルトがカーステレオで鳴りっぱなしです。夜寝る前は枕元のラジカセでモーツァルトを聴きながら眠りに落ちます。おそらく1日10時間以上モーツァルトを聴いていることになると思います。もっともほとんどの時間帯はバックグランドミュージックとしてですが。
弾くのはチェロ。中年からけいこを始め、死ぬまで付き合うつもりです。自分だけの時間に自己陶酔的に弾くのは日本の抒情歌。以前はバッハの無伴奏チェロ組曲などに打ち込んでいましたが、老いとともにしんどい曲よりも心癒され、懐かしさに涙を流すような日本の曲に限りない親近感を覚えています。
これとは別に、「アンサンブル・コスモリバティ」というアマチュアの弦楽合奏団の一員としてもチェロを弾いています。こちらの方は楽員のレベルが高く、私にとってはしんどい曲にも挑戦しています。

アンサンブル・コスモリバティは現在38名の正会員(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)を擁する弦楽合奏団です。演奏会のときには賛助会員の管楽器奏者にも加わってもらい、弦楽合奏曲だけではなく管弦楽曲のレパートリーも演奏します。
発足は1990年(平成2年)6月、満18年が経過しました。今年6月29日、第18回定期演奏会を成功裏に終えることができました。
コスモリバティという名は、創立当初会員からの募集によって決めました。COSMOS(宇宙)とLIBERTY(自由)の合体造語で、「自由な時間に気宇壮大な夢をみて人生を楽しむ」というほどの意味です。
私はこの合奏団の創立以来のメンバーです(途中業務多忙期に3年ほど休団しましたが)。
この合奏団の特徴は、平日の昼間でも練習に参加することができる定年退職者や主婦が中心メンバーであることです。
平生は毎月1回の練習日があり、演奏会が近づくと2週間に1回、週に1回とその頻度が多くなります。

演奏会は年1回、6月に定期演奏会として行います。練習はこの年1回の定期演奏会のために、そこにターゲットを合わせて行います。たまに定期演奏会とは別にボランティアとして出張演奏会を行うこともあります。定期演奏会は入場無料で、地域の人たちや音楽愛好者が300~400名聴きに来てくれます。
ちなみに、今年の定期演奏会は6月29日に茨木市市民総合センター(クリエイトセンター)で行い、演奏曲目は、ヘンデル作曲合奏協奏曲ニ短調、モーツァルト作曲アイネ・クライネ・ナハトムジーク、早川正昭作曲「バロック風日本の四季より秋」、チャイコフスキー作曲「弦楽セレナーデ」でした。

コスモリバティの団員は男性・女性とも年配者が多いのですが、これは「平日の昼間でも練習に参加できる」という条件から自然とそうなり、また健康を害して退団していく会員が少なくないのもやむを得ないところです。しかし、練習に励む団員を眺めていると、私自身を含めて、ハッピーリタイアを感じさせる面々ばかりです。定年を迎えて時間を潰すために音楽でも、といった雰囲気ではまるでありません。好きなだけ音楽をやるために、男性では定年がくるのを待っていた、女性では子供から手が放せるのを待っていたという雰囲気が満ちあふれています。自分の意思で楽しみと喜びをつかみ取ったいう誇らしさが表情に出ています。つくづく老後はこうありたいものだと思います。
多くの団員がかつて音楽を勉強した、あるいは人生のある時期音楽に没頭したという経験の持ち主でもあることもその背景にあるのかもしれません。その後仕事や生活のために相当期間音楽から遠ざかったものの、ある年齢を迎え、生活に時間的、経済的な余裕ができ、かつ健康でもあることから音楽に戻ってこれた、そういう幸福を今かみしめているといったところでしょうか。

私の場合は少し事情が違っていて、40歳を過ぎてからチェロを始めました。それまではまったくチェロを弾くという経験はありませんでした。音楽は好きでしたし、モーツァルトへの傾倒はすでに始まっていましたが、これも聴くだけ。しかし、子供の頃からプロ野球を見るより自分で草野球をしたいという性格の私は、いつかは自分で楽器を弾いてみたい、合奏団やオーケストラの中で自分の音を共鳴させたいという思いはずっとありました。そして、楽器を購入し、個人レッスンの先生を見つけてけいこを始めましたが、どんなけいこ事でもそうでしょうが、最初は楽しむより辛いばかり、仕事の多忙さもあってその気持ちに負けないことが大変でした。そのとき考えたことは、やがて自分も高齢期を迎える、そのとき幸福な時間を過ごすことができ、高いクオリティオブライフ(生活の質)を確保するため今はその準備期間である、したがって辛抱と継続が必要だと。
今コスモリバティの団員として充実感、幸福感を味わえるのは、自慢になりますが、この考えの結果であり、自分が描き、実行してきたシナリオが間違っていなかったことを大変うれしく思うのです。
私も高齢者に仲間入りしました。しかし、今の健康と音楽がある限り、私の老後は幸福にゆっくりと進行していくような予感がします。
音符を必死で追いかけ、指先を最大限機敏に動かす、これが左脳の活性化に効果がないはずはありません。またアンサンブルの響きや美しいメロディに聞き惚れる、これが右脳の活性化に効果がないはずはないと信じています。