2012年03月01日

前回の私のエッセイで、「私の本の読み方」について書きました。そして、「傍線読書」、「付箋読書」、「ノート方式」などを紹介しました。
今回はその続編として、私の新聞・雑誌等の読み方を紹介します。
どちらの場合も、さらりと読み流す(見出しだけ、または斜め読み)だけでよい記事や内容はこの場合の対象ではありません。そうではなく、記憶に留めておきたい、情報として保存する必要があると思う記事・内容についてどうするかという問題です。

私は、新聞・雑誌などのときでも本を読む場合の「傍線方式」を用います。
テーブルの上で常に赤ボールペンを手に持ち、または傍らにおいて読み進みます。そして、記事のなかにキーワードや重要と思われるフレーズを見つけたとき、そこに赤い傍線を引きます。読むスピードはこれによって落ちることはほとんどありません。
その記事を読み終えると、はじめに戻って赤線部分だけを目で追い、頭に刻み込むようにそれを確認していきます。こうすることによってその記事に関する記憶の定着度が高まります。
記事によっては、それだけで十分、つまりそれ以上手間暇をかける必要はないと思われるものが少なくありません。そのときはそれでおしまい、あと何もしません。新聞などは赤線が付いたままゴミ箱にいきます。

他方、この記事は記憶しておかなければならない、もう一度読み返すために保存しておかなければならないというものもあります。そのような場合の方法について紹介します。
数年前までは「スクラップ」をしていました。該当記事をカッターで切り抜き(雑誌の場合はコピーして)スクラップブックに貼り付けるという方法です。
今はそれに代わって、「ハンディスキャナー」を使ってその記事をスキャンします。そして、それを電子データとして保存、整理、管理するという方法をとっています。「切り抜き式スクラップ」に対して「スキャン式スクラップ」とでも言いましょうか。デジタル時代にそくした合理的、効率的な方法だと思います。
スキャンと言っても、紙をスキャナーに挿入して行うのではありません。対象部分を切り取る必要もありません。右手にハンディスキャナーをもって、該当記事部分の上をなでるだけです。新聞の場合は赤ペンで傍線を引いたあとスキャンします。
雑誌や本の場合も同様です。ただ新聞紙のように平らに拡げられないことがありますが、開いたページを多少の彎曲があってもそれに沿わせて滑らせればスキャン可能です。
バッグの中にハンディスキャナーを入れておくと、外出先でも同じ作業をすることができます。他人が所持する書類や文献、写真、パンフレットなども、拝借できれば何でもスキャンすることができます。

私が今使っているハンディスキャナーはスリーアールシステムというメーカーの「Anyty」という商品で、価格は量販店で10,500円、他社製でもほぼ1万円前後です。決して高価なものではありません。長さ約25㎝、幅約3㎝、高さ約2.5㎝で、ちょうど箸箱といった感じです。重さは210グラム、単三電池2本が電源。マイクロSDを装着し(2ギガのものが同梱されています)、カラーとモノクロ、600dpiと300dpiが切り換えられるようになっています。
慣れない間は、スキャナーを動かすスピードが速すぎてエラーが出たり、紙面がよじれたり、スキャナーが歪んだりといった問題がありますが、それらを克服するコツをつかむのにそれほど時間はかかりません。

スキャンした記事はハンディスキャナーの中のSDカードにJPG画像として保存されます。2ギガのマイクロSDには数百枚の新聞記事を保存することができます。
これを時間があるときにパソコンに移動します。直接ケーブルをつないでも、カードを抜き差ししてもどちらでも簡単にできます。
SDカードに貯まったデータをどのくらいの頻度でパソコンに移すか。それは、そのデータ、情報をどのように閲覧、利用するかにかかっています。
私の場合、1週間か2週間に1回行いますが、場合によっては1ケ月に1回でもよいと思います。切り抜きによるスクラップでも切り取った紙片がそのくらいたまってしまうことは珍しくありません。
個々のファイルにどのように名前(日付やタイトル)をつけるか、どのように分類するかなどは、パソコンの文書管理の一般的ノーハウと同じです。

私の事務所には新聞雑誌情報のファイルをこのあとどのように活用するかについて特徴があります。それは、保存した情報を以後活用するのが私だけではないということです。事務所の弁護士10名、ときには事務職員もこの情報を活用します。それができるのは、私がスキャンし、保存したファイルは無線ランを通じて、事務所全体の共有になっているからです。つまり、誰でも自分のパソコンからその共有のフォルダーやファイルにアクセスし、閲覧し、コピーし、プリントし、メールの添付ファイルなどに利用することができるのです。
そして、(講読していただいている方も多いと思いますが)当事務所発行のメールマガジンなどのネタ記事として利用されています。
このような活用方法は「切り抜き式スクラップ」ではとうていなし得ない芸当です。

なお、最近では、新聞自体が電子化され、インターネットで配信されるようになっています。これが普及すると、「電子スクラップ」としてさらに変化、進化することになるでしょう。