2023年04月01日

2022年3月31日をもって大阪弁護士会副会長としての任期を終え、無事退任しました。おかげさまで1年間、「悩まんと 頼りにしてや 弁護士を “ひとりやない”」のスローガンを掲げた福田健次会長のもと、7人の副会長の一員として会務に取り組むことができました。

歴代執行部が繋いできたバトンをもって走り切らなければならない使命感を抱きつつ、就任当初は、果たして自分自身がやっていけるだろうかと不安であったことも否めません。

ただ、5000名に達しようとする大阪弁護士会の会員一人一人が生き生きと仕事ができるよう、副会長としての役割をしっかりと果たし、できる限りのことを精一杯やろうと、日々、気持ちを込めて一つ一つの仕事をしてきたつもりです。

実際、終わってみると、あっという間の1年ですが、日々を振り返れば、ずいぶん多くの仕事に携わったな、都度苦労したな、長かったなという気がしています。

 

私が力を入れて取り組んだことに、市民窓口などからの情報を基に、何らかの問題を抱えていることが懸念される会員に対応することがありました。弁護士の仕事はそれぞれの見識に委ねられ最大限尊重される必要があり、一方で弁護士への信頼維持のため、会の手続として厳格な懲戒手続(それに先行する綱紀手続)が設けられています。弁護士とのトラブル解決のための紛議調停もあります。そのうえで、私たち副会長は、特に懸念がある場合は、その弁護士に連絡を取って、対応を促し、時に相談に乗り、業務の改善につき助言をすることがあります。この対応をかなり積極的に行いました。

また、私自身、かつて仕事を抱え込んで精神的につらい時期があったことから、その体験を踏まえて、会員相手のメンタルヘルス研修の講師もさせていただきました。仕事がたまりすぎて、なかなか手を付けられないときの対処法を話したりしました。

弁護士の業務は複雑な権利関係、人間関係を取り扱うため、困難な状況に陥ることもあり得ます。そうしたなかでも弁護士会として、弁護士への信頼を維持し、市民からの負託に応えていくため、できる限りのことを他の副会長と協力して実践してきました。

懲戒請求への対応を強化するため、綱紀委員を増員することにも取り組みました。

 

また、対外広報を担う広報室担当として、新しいマスコットキャラクター「リーガリュー」の誕生にも携わりました。広くデザインを公募したところ779点もの応募があり、漫画家で大阪芸術大学教授の里中真知子先生に審査委員長になっていただき、独創的なキャラクターを選び出しました。「リーガル+恐竜」の「リーガリュー」には、大阪弁護士会を身近な存在に感じてもらうため、今後活躍してほしいと思っています。大阪弁護士会のホームページをご覧ください。

 

子どもの権利委員会は少年事件の付添人活動の中心となり、またいじめ第三者委員会への委員派遣等を行い、法教育委員会は大阪府下高校への出張事業や、小中学生への法教育イベントを行っています。それぞれ委員の弁護士の方々が精力的に活動していて、私は担当として見守る程度でしたが、自身には大変勉強になりました。

司法修習委員会担当のほか、全くの無給での司法修習を余儀なくされた「谷間世代」への給付を求める日弁連の運動と連携した活動にも、委員の弁護士の方々と協力して取り組みました。

 

日々生起する問題を議案としてとりまとめ、毎週木曜の副会長会に上程して議論を深め、週明け月曜の正副会長会で福田会長に方針決定してもらう、継続案件は進捗状況を共有して、意見を交わし、少しずつ進めていく、その繰り返しの1年間でした。

私たち副会長7人は、企業法務を扱う者、刑事弁護や人権問題、消費者問題に長年取り組んできた者等々がおり、主な活動歴ある委員会も多彩で、それぞれカラーと得意分野が絶妙なバランスで違っていました。そのおかげで議論を交わす中で、多様な考え方を取り入れ、方向性を見出していくことができました。結構シビアに議論しましたが、温かな人柄の仲間に恵まれ、信頼関係がありました。

そして最後には、常に明るく、副会長の議論を見守る寛容さと、批判をおそれず信念で決断される福田会長が控えておられ(時に先頭に立っておられ)、私自身、安心して伸び伸びと仕事に取り組むことができ、本当に貴重な経験を積むことができました。

1年間、健康を損なうことなく仕事に取り組めたのは、弁護士会職員の方々の支えあってのことですし、全ての場面で先輩、後輩問わず、熱心に活動される弁護士の方々に助けていただいたからでした。もちろん、勤務先である栄光綜合法律事務所の理解とバックアップなしにできたことではありません。文字通り、有難いことであったと痛感しています。

副会長職は私にとって重責そのものでしたが、これまでの経験の全てをつぎ込んで仕事させていただきました。無事、任期を終えさせていただいたことで、弁護士としての節目、のみならず、人生の節目を迎えたと感じています。

これからは、この経験をもとに、ご迷惑もおかけしたクライアントや友人の皆様のため、事務所のみんなに恩返しをしながら、弁護士の仕事を充実させてまいりたいと思っています。

ありがとうございました。今後とも、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申しあげます。